関茂雄 Episode5:誰のなかにも輝く光を | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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その後半年近く掛けて自分と向き合い、僕は人生の指針――コンパスを見出した。
そして、今度は僕が、そのセミナーを主催する会社を助けるようになった。

彼らはコンパスの重要さを伝えている。ただ、それを見つける方法を伝えることまではできていなかった。
半年間で人生のコンパスを確立した僕は、それを再現性のある形で人に教えるようになった。
そして、僕にパラダイムシフトを与えてくれたそのセミナーに、僕が協力するようになったんだ。

自分の事業としても、人生のコンパスを確立するコンサルティングをおこなうように。
とはいえ、「一生涯、孫子の代まで」という概念のバチっとハマった僕の対人関係は、以前とすっかり変わっていた。

出会う人出会う人、みんなが可能性の塊に見える。
それを発揮している人もいれば、抑えている人も、可能性に気づいてすらいない人もいる。
自分の可能性に……輝きに、気づいてほしい! それを発揮してほしい!
そのために協力できる事があれば何だってしたい。
それが仕事や収入になるかどうかなんて二の次。気づけばそういう発想になっていた。

異業種交流会なんかで知り合った人には、まず「今度会いませんか? 」と声を掛ける。
世間にはお茶から始めるしつこい営業もあるから、警戒する人もいる。無視されることもある。
でも、何人かの人は会ってくれる。
Mさんと新宿でお茶したのも、そんな交流会での出会いで僕が声を掛けたからだった。

交流会でも、お茶した時にも、事業家であるMさんはお金の話ばかりしていた。
「Mさん、本当に、お金が好きなんですね」
嫌だとは思わなかったけど、もったいなさを感じた。
ゲーマーとしても活躍していて情熱も持っているのに、自分で事業をしているはずなのに。
サラリーマンみたいに縮こまった発想じゃないか。
この人はその先に何を見ているんだろう?

話したい事について思う存分話したら、人間、相手の話にも聴く耳を持つもの。
Mさんは僕の問いに耳を傾けてくれた。
「お金貯めて、何がしたいんスか? 」

彼は答えに詰まって目を泳がせた。それらしい答えを口にしてみるも、しっくりきていない様子。
「……お金稼いでしたい事なんて、考えたことなかったかもしれないですね」
「じゃ、それ、よかったらいっしょに見つけていきませんか? 」

あくまで手段のひとつ。僕の提示する方法や、そもそも僕の協力は、唯一の手段じゃない。
ただ、Mさんにまだ見えていない“その先”を見つける手伝いが、僕にはできる、その自信はあったから。

その後、Mさんと何度もお茶をして、コンパス作りに没頭した。

まずは過去の棚卸し。
自覚しているものはもちろん、無意識に現在の行動や思考の様式に影響しているものも明確化する。

そして、好きだった漫画や映画、歌の歌詞の、特にワクワクする箇所や場面を洗い出す。
自分がどんな事や言葉に反応するのか。何が自分のエネルギー源になるのか。
それは一人ひとり違うものだから。

最初は渋々やっていたMさんは、回を重ねるごとに目をキラキラさせていった。
最初はサボりがちだった宿題も、じきに自発的に、僕の予想以上にやってくるようになった。


誰だってそうだけど、人一倍傷ついてきたMさんには、“人を信用しない”という無意識の癖があった。
これがキモだなと感じた僕は、カフェでの無償コンサル以外にも手を打った。
彼のためになると感じた異業種交流会の参加費を勝手に払って、参加してもらった。
僕の主催するセミナーの議事録を無償で提供する。本もプレゼントする。

「関さん、時間どころかお金使ってまで……なんで僕にこんなにしてくれるんですか? 」
聞かれるまでもなく、僕自身不思議なくらいだった。1年前の僕が見たら気が狂ったと思うだろう。
その場限り取り繕って対価だけ受け取って売り逃げしていた僕が。


それでも、そうしたかったから。彼の奥にあるキラキラしたものを引き出したかったから。
そんな接し方をしていたら、その時は自然と訪れた。
「関さん。もう、お金払わせてください」

そして……
「僕も、与えたい。関さんがやってくれたように、僕も人に、社会に、貢献したい! 」

お金がすべて、稼ぐことしか考えてこなかったMさんの奥にあった、人のために命を使いたいという想い。
それをいっしょに引き出すことができて、彼が変わったのはもちろんだけど。

そのプロセスを共有させてもらった僕のなかに生まれた感動、コンパス発掘スキルへの確信、それができた自分への誇らしさ……、僕のほうがもらった価値は、とても言い尽くせない。

Mさんは現在僕の会社でともに働いている。
そして、これはMさんに限ったことじゃなくて。こんな宝物みたいな事例が僕の毎日にはあふれているんだ。

売り逃げ営業と言われていた僕。ブレブレだった僕。
そんな僕も、人生のコンパスを得て、その見つけ方を人に伝えるようになった。
関わる人と孫子の代まで付き合う覚悟を持ち、いつの間にかそのスタンスが僕の常識になっていた。

「いま軸がないな、ブレブレだな」
これを読んでくれたあなたがもしそう感じたとしてもだいじょうぶ。
僕もそうだったから。きっと、あなた以上にブレブレだったから。
そんな僕でもいまこんなふうに生きているから。

僕のKeyPageからあなたが希望を掴んでくれたらうれしいです。

掲載日:2019年01月19日(土)

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CSO株式会社 代表取締役

関茂雄(せき しげお)

悩めるすべての人に、人生や経営の目的や指針、戦略を見出すコンサルを手掛ける関茂雄さん。その前半生は、自分が何者なのかを見失ったまま試行錯誤していたのだといいます。関さんが人生の軸を掴むまでの物語です。

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