川口美樹 Episode4:「やり方」と「在り方」って?挫折を通して見た自分の姿は | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

» 川口美樹 Episode4:「やり方」と「在り方」って?挫折を通して見た自分の姿は

僕は結局何者なんだろう?そんな自問自答を繰り返していたある日、友人に「人生設計を考えるきっかけになる」と、ある講演会を紹介された。

セミナーと名のつくものにはそれまで一切縁がなかったが、「とにかく情報が欲しい。何か行動するきっかけになれば」という一心で参加することにした。

『自分の仕事を選ぶ時、多くの人は給与や福利厚生などの「条件」で選んでしまい、「何をやるか?」という「やり方」を重要視してしまう。しかし、結局は正解を求めていつまでも満足できない。

一方、人生を楽しく行きている人は自分がどうありたいか?という「在り方」を先に決めている。あり方は人生の目的地であり、やり方(仕事)はそこに辿り着くための乗り物にすぎない。目的地を決めないまま乗り物選びをしても、自分の行きたい所には行けない』という主旨だった。

「あぁ、そうか。自分がこれまで出会った一流の人たちは、俳優として、声優としての在り方が明確なんだ。」
自分は「何をするか」ばかり見ていて、その先の「どう在りたいか」を全く考えていなかった。

僕はそのセミナーの運営を手伝わせてもらうことになり、しばらくして、大阪での立ち上げを任された。立ち上げはなかなかプレッシャーだったけど、少し自信があった。
「やってやる!」
僕はそう覚悟を決めて大阪の地へ足を踏み入れた。

しかし、大阪での仕事は東京とは勝手が違った。

大阪は東京みたいにビジネスライクではなく、義理と人情の人間関係を重んじられていて、どんなにいいものでも「お前誰やねん?」といわれたら話が進まない世界だった。

最初こそ人は集まったが、継続して開催することができなかった。覚悟を持って行ったと思ったのに、今回もまたダメだった。

「俺の人生って何だろう。なんにもうまくいっていないな。きっと事業家としての素質がないんだ…」
26歳。メンタルも自信もボロボロだった。

人生で初めて、憂鬱で、朝起きられないという経験をした。
主催者に東京から大阪にきてもらい、「大阪をあきらめたいです」と申し出た。
不甲斐なくて、東京のスタッフにも顔向けできない。スタッフ自体をやめたいという思いで、僕は敗北宣言をした。

主催の返答は意外なものだった。
「講演会とはいえ立ち上げってさ、普通の企業でいったら役員とか事業部長がやるレベルで、会社に予算を与えられてやるものだから。まだ26歳の人間ができなくてもしかたないんじゃないの?」
と言われた。

拍子抜けした。と同時に心が軽くなった。

「そっか、僕がやっていたことって企業でいったら、事業部長がやるようなことにチャレンジしてたんだな。」
じゃあできなくてもしょうがないか、という気持ちになれた。
「別にやめなくていいし、東京にもどってくればいいんじゃない?ただ、できてないことばかりに目が行っているから、この経験で得られたことを洗い出して、やってよかったなと思って帰ってきた方がいいよ」とも言われた。

出来なかったことではなくて出来たこと?失ったものではなく、得たもの?
僕は自分の「欠けているもの」ばかりに目がいっていたのだ。その時から「もうすでに持っているもの」に目を向けるように意識し始めた。

掲載日:2018年11月29日(木)

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元俳優・執筆家・講演家

川口美樹(かわぐち よしき)

オールマイティに何でもこなせた。でもいつも一番にはなれなかった。自分だけのフィールドを探し続けた先に見つけたのは、自分だけの「在り方」だった。

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