それは、お父さんを亡くした私が「愛されてていいな」とうらやんでいた、テニス部の仲間だった。
恋人との交際をお父さんに反対され、家出して彼の実家に居候していたという。
そんな生活も長かったので籍を入れることにしたものの、入籍後に報告されたお父さんは激怒。勘当されたのだ。
「披露宴とかしたいけど、日本でやるとお父さん呼ばなきゃいけないでしょ」
そう言う彼女に、私は絶対にしたほうがいいと熱弁した。
結婚式というのは、どんな人でも主役になれる場所。それまで表現できなかった感謝の伝えられる場所。
忘れかけていた縁さえ繋ぎ直せる、最高の機会なのだ。
新郎新婦との打ち合わせのほかに、彼らには内緒で新婦のご両親との打ち合わせもおこなった。
あんなに彼女を愛していたお父さん。年月を経てこじれていたとしても、その愛には変わりない。私はそう信じていた。
お笑い好きの娘夫婦のためにお笑い芸人を呼んでやりたい。お父さんの口からそんな言葉が出た時、私は机の下で拳を握った。
披露宴当日。
序盤ではお父さんに対して硬い表情を見せていた彼女が、そのお笑い芸人の余興のあと、お父さんと会話する姿が。
パーティが進み、結びの言葉として謝辞を述べる新郎が、言葉に詰まってしまった。
それに対して、新婦のお父さんが励ますように肩を叩く。新婦の穏やかな微笑み。
最後の最後、新婦のご両親からのビデオメッセージに、新婦は泣き崩れてしまった。
「サナエはいつまでも大切な娘。いつでも味方だからね」
号泣する友人を見守りながら、私も泣いていた。
全部、全部知っている。背景を全部知っているのだ。
中学時代のふたりの関係も、お父さんとの仲がこじれてしまった苦しさや怒り、悲しみも、全部全部知っているのだ。
その怒りや悲しみがあたたかい愛に包まれ、解け、涙とともに流れてゆく。あとに残るのは愛、感謝、祝福、希望……。
やりたいのは、こういう結婚式だ。
そつなく回すだけの式じゃない。会社の利益を上げるために誘導した、オーソドックスな式じゃない。
お客様の要望に応えながらも、踏み込むべきところではしっかり踏み込み、縁を繋いだり繋ぎ直したりする、そんな結婚式なんだ。
結婚する時は結婚式をするものだと思っていた。そして、それはキラキラした結婚式場でするものだと思っていた。
そんな私はこの業界に身を置き、いろんな事を知った。
通常イメージされるような挙式を、様々な事情で諦めるカップルがいること。
企業のプロデュースする結婚式には、人件費や広告費などで非常にお金が掛かること。
ウェディング業界の企業に勤める女性の多くが過労でいろいろな不調を体に抱えており、妊娠できなくなる人も珍しくないこと。
フリーランスのウェディングプランナーという働き方が増えれば、
お客様にとっても働く側にとっても、それまでになかった選択肢が生まれることになる。
あくまで統計上の話だけど、入籍するカップルの5割が結婚式を挙げず、結婚式を挙げないカップルの8割が経済的理由。
そして、入籍した5割のカップルが離婚をし、そのうちの8割は結婚式を挙げていない。
フリーランスのウェディングプランナーがお客様にしっかり寄り添い、適正価格の式をプロデュースすることで、
縁を繋ぎ直す結婚式、愛と感謝にあふれる結婚式を経験するカップルが増えたら。
本人にとってはもちろん、関わる家族にとっても、社会にとっても、すばらしい変化が起こせるだろう。
現状の離婚率や少子化の問題にも一石を投じることになるかもしれない。
もしかするとあなたも、いろいろな事情があって過去に挙式を諦めたり、
将来結婚はしても式を挙げるつもりはないと思ったりしているなかのひとりかもしれない。
そんな方にも、結婚式のすばらしさを知ってもらい、諦めなくても済む選択肢を提供したい。
誰もが主役になれる場所。縁を繋いだり繋ぎ直したりする場所。凝り固まった感情も、愛と感謝に解けてゆく場所。
そんな結婚式を、私は全力でプロデュースする。
これを読んでもし「いまからでもやりたいな」と思ったら、ぜひ私に相談してほしい。全力で後押しするから。
すごく人目を気にしていた私。
お姉ちゃんの式を見て、結婚式は“良い子じゃなくても祝福される場”だと思って、惹かれた面もあったのかもしれない。
そういう場を作る仕事を、とこの業界に飛び込み、数字から得られる評価に左右されて自分を見失った時期もある。
けれども、きっかけがそうだったとしても、この仕事の醍醐味はもっと深いところにあった。
どんな人でも主役になれる、どんな過去を持っていても縁を繋ぎ直し愛と感謝を表現し合うことができる、
そんな場をプロデュースするのが私の仕事。
人や会社からの評価なんかよりうんと尊い、感謝や感動という対価をエネルギーに、私はこの仕事に取り組んでいる。
そして、いまだからわかる。“良い子じゃなくても祝福される場”が結婚式の本質ではない。
キラキラ輝く愛、希望、祈り……どんな人でもその心の奥の奥に抱いている本当の輝きを思い出し表現する、それが結婚式。
良い子も、良い子じゃない子も、どんなふうに思われていた人もどんなふうに生きてきた人も、本当の美しさに立ち還る場なのだ。
だから惹かれたのだ、きっと。
人目を気にする私がそこに関わることで本当の自分を思い出せる気がして、無意識に惹かれたのだ、きっと。
とんでもないパワーを秘めた結婚式という選択肢を、多くの方に届けたい。これが、私のKeyPageです。
掲載日:2018年09月07日(金)
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