両親は離婚し、僕は大学へと進学した。
経済的な余裕は全くなかったが、今後姉と母を守っていく手段を考える時間が必要だと思い、進学を決意した。
入学して1ヶ月目ですぐにお金に困り、毎日食べることさえままならない。
先輩に紹介してもらったアルバイト先ですぐに働き始め、大学の授業が終わるとすぐにアルバイトへ行き朝の5時まで働いて、また朝から大学へ行く。そんな生活を必死にこなしているうちに、なんのために頑張っているのか分からなくなっていた。
ぼんやりする頭の中で、あの時の父のセリフがこだまする。
『お前らなんて生まれてこなきゃよかったんだ……! 』
お酒に逃げ、眠れなくなって睡眠薬を飲むようになり、ある日ふと思いついたように睡眠薬とウイスキーのボトルを飲み干した。もう死んだほうが楽だ。きっと僕は本当に、生まれてこなきゃよかったんだ……。
目が覚めた時、母と姉の心配そうな顔が飛び込んできた。
記憶にはないが、携帯の電源を落とす前に姉にだけは連絡をしていたらしい。
『今までありがとう、僕、もう無理だわ、ごめん』
その留守番電話を聞いて、駆けつけてくれたそうだ。
「辛いなら、戻ってきていいんだよ」
こんなに何もない自分でも、こんな風に言ってくれる人たちがいるんだ。自分を必要としてくれる人がいるんだ。
「もう母と姉の悲しむ顔を見たくない。もう一度頑張ろう」
掲載日:2018年11月29日(木)
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プレシャスライフ株式会社 代表取締役
JFP株式会社 取締役役員
上杉翔(うえすぎ しょう)
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