富岡健 Episode2:夢を語り合うすばらしさを知って。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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入った会社はとても良い、恵まれた会社だった。
バーにレストランに料亭に……飲食店に関われるし、ともに働くのは尊敬できる上司に、かっこいい先輩。
先輩たちが休日出勤する姿にも憧れを持っていた。

ただ、そこで働き続ける未来と僕のビジョンは重ならない、いつしかそんな事に気づいてしまった。
良い会社が良い人生に直結するとは限らないのだ。

会社外の人脈も欲しかったので、交流会やセミナーに参加するようにした。それは楽しかった、けれど……。
仲良くなりたいと思った男性に連絡を取ると、相手が恋愛目的だったので返事が来ない、なんてことも。
それでなくても交流会は男性の参加費が高い。「ちょっと、考えないといけないな……」と、雑誌をめくっていた時。

「朝活ブーム? いろんな活動があるんだな。参加費もうんとお手ごろだし」
野球部の朝練なんか4時起きだった。朝には強い。費用対効果も好さそうだし。
そのなかでも惹かれたのは、カフェで夢を語るという活動だった。

日本には夢を語る人なんて少ないと思っていた。
プロ野球選手という夢に一番反対していたのは両親だった。
夢は口にすれば批判されるもの、そんななかで夢を持っている人なんてそうそういないんじゃないか。そう思っていた。

「どんな人が来るんだろう……? 朝から夢を語りに来る人なんて、そんなにいるのかな?? 」

ドキドキしながらその朝を迎えた。
指定されたカフェに入り、主催者らしい人を見つける。挨拶をして、注文をして、テーブルに戻って。
少しずつ人も増えてきた。全部で6人ほど。見た目はごく普通の男性に女性だ。はっきり言って、全然夢なんかなさそうな人たちだった。

「来る場所間違えたかな? 」そんな事を思ってしまうほど。

そんなこんなでA4用紙が1枚ずつ配られた。夢を書いて、自己紹介と合わせて紹介するのだという。

ふと隣を見ると、A4用紙にびっしりと夢を書く男性が。反対隣を見ても同じだ。紙の上から下まで事細かに。
そうして自己紹介と夢の紹介をする彼らは、キラキラ輝いていた。僕の躊躇いなんか吹き飛ばすほどの笑顔とエネルギー……。

そんな姿を見ていて、僕も彼らの夢を応援したくなってしまった。
自分が何で起業してどう成功し、どう生きるか、そのためにこの催しは役に立つか、朝活は役に立つか……なんて、
自分のことばかり考えていた僕なのに。
キラキラと夢を語る姿勢は、自分にばかり矢印の向いていた人間さえ変えてしまうのか!!

日本には、夢を語る人が少ないんじゃない。夢を語る場が少ないだけなんだ。
漫然と生きて交流するだけでは見えないだけで、皆それぞれ心の奥に輝きの種を持っている。
ただそれを表現する場が少ないだけなんだ。
僕のように、夢を否定された経験から夢を語ること、そもそも抱くことに消極的になった人もいるだろう。
夢を語るという目的を設定した場で、定期的に自分の夢を語る彼ら。
否定されない場で語れば語るほど、夢や希望は現実的に、具体的にもなる。夢が人生を創るんだ。

「これは……なんてすばらしい活動なんだ……!!! 」

その後僕は名古屋に転勤することになった。

福岡で出合ったこのすばらしい活動を、僕が名古屋でやろう。安心して夢を語る場を僕が作るんだ。
右も左もわからない土地で、「夢カフェ」と名づけたその活動を僕は始めたのだった。

掲載日:2018年03月11日(日)

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株式会社The Next Create CEO

富岡健(とみおか けん)

夢を語り応援し合う朝活「夢カフェ」事業をおこなう富岡健さん。人の夢を応援することで世界が広がったという富岡さん、もとは自分以外にあまり関心を持たない青年でした。その生き方を覆したキッカケとは……?

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