鈴木崇之 Episode4:失敗のない人生の幕開け。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

» 鈴木崇之 Episode4:失敗のない人生の幕開け。

関さんのコンサルを受けながら、僕自身コーチング事業で独立。
クライアントとして、10日ごとに関さんとミーティングをする。
僕自身が人生に何を望んでいるのか、それをどう叶えていくのかが、どんどんクリアになっていった。
同時に、関さんと組んでいっしょにセミナーをしたり、採用支援事業の立ち上げに関わったりするのも楽しい。

一クライアントである僕をビジネスパートナーとしても選んでくれる関さん。
失敗することもある。数日後にセミナーをやろうと言い出して参加者が2名だったこともある。
そんなのも含め、ふたりで試行錯誤し未来を切り拓いていく充実感がたまらない。
青春をもう一度やり直しているみたいだ。青春は、人生は、いつからでもやり直せるんだ。

事業の収支の帳尻の合わない部分は借金をして補ってきた。
充実感で見て見ぬふりをしてきた収支バランスは、独立して7ヶ月で取れなくなった。
借金は700万。もう、借入先がない……。

そんな時、彼女に振られた。群馬の彼女ではなく、もっとあとに付き合った彼女だ。

群馬の彼女と別れてからその彼女と付き合うまでに、何人か付き合ったけど。
正直に言うと、好きで好きで仕方なくて付き合った人は少なかった。
同年代の友人たちが結婚っていうしあわせのカタチを掴んでいくのを横目に、消極的な理由で選んだ女性たち。

という女性関係の続いたなかで、久しぶりに本気で惚れ込んで付き合った女性が、この時の彼女だった。
その彼女に、「もう、好きになれない」と言われ……。

あんなにキラキラ輝いて働いていても、ロマンとそろばんの帳尻は合わない。
仕事も諦め、大好きな彼女も失った。
僕は、何をやっていたんだろう……何のために生きているんだろう……。

関さんからの連絡を遮断した。関さんだけでなく、社会との関わりを断った。
引きこもって、YouTubeを見るだけの日々。外出するのは最寄りのコンビニに行く時だけ。

「何やってたんだろう……何のために生きてるんだろう……」
もうやり直せない過去の失敗の場面、後悔の数々が、頭の中を駆け巡る。

落ち込むだけ落ち込んだら、1ヶ月ほどで気力が湧いてきた。
兄ちゃんに金を借りて当面の生活費に充てる。
同時期に、フリーランスのコンサルタントとしてある会社に拾われ、仕事を頂くことに。
借金を返済しながら生活もしていける環境をなんとか整えた。

ロマンや充実感も大事だけど、まずは生活をしなきゃ。
夢を見るのは実力をつけてから。
数ヶ月前は楽しかった。でも、いまの僕には、そんな事……。

「鈴木さん。もういっぺん、僕とやらない? 」

連絡を断っていたクライアントである僕に、関さんが連絡してきた。
無視することもできたのに、僕はミーティングに応じた。

そして、もう一度差し伸べられた手。

もう一度……もう一度、挑戦するのか?
一度失敗したのに、もう一度やるのか、僕は?
もう一度、関さんは挑戦してくれるのか? ……僕と?

拾ってくれた会社では、現場の第一線で仕事させてもらっていた。もう4ヶ月になる。
「いま抜けられると困る」というのが社長の言葉。

どん底で拾ってくれた社長への恩義。
でも、もう一度関さんとやりたいという心の声も無視できない。

どうしよう。どっちを選ぶのが正解なんだろう……。

揺れ動く心の内を関さんに相談した。
しばらく間を置いて、関さんはこう言った。

「どっちでもいいよ」

どっちでも? どうしても僕とやりたいわけじゃなかったのか?
戸惑う僕。ふふっと笑って、関さんは続ける。

「僕としては、いますぐ来てほしい。うちの会社でいっしょにやりたい。
 でもね、どっちでもいいんだよ。
 鈴木さんが僕を選んでもその会社を選んでも、どっちでもいい。
 どっちを選んだとしても、ひとつにつながっていくから」

何かが、弾けた。僕の中から“失敗”という概念の消えた瞬間だった。

「わかった。関さんとやります」
気づけば僕の口はそう動いていた。

何かに失敗することでダサいと思われるのが怖かった、子ども時代。
心を開いて人と関われるようになってからも、人目を気にしていた。
憧れの人、環境……どこかに正解があるような気がしていた。
誰かが正解を教えてくれる気がして、いろんな世界を見てきた。

そんななかで、ずっと変わらなかった想い。人と関わって生きたいという想い。
その想いに従って知り合った関さんに最初に懸けた時、僕は彼に希望を見た。
無意識だったけど、MLMの時と同じ。
僕自身じゃなくて、関さんが本当の僕に導いてくれるんだと、その時はまだ思っていた。

でも、そうじゃない。関さんが、誰かが、答えや正解を教えてくれるんじゃない。
どんなに失敗しても、事業が潰れても、借金しても、人に責められても……僕が僕の答えを見つけ、貫くことなんだ。
その時誰かが傍にいてくれることはある。助けてくれることもある。
でも、答えを見つけ、貫き、人生を拓いていくのはほかの誰でもない、僕自身なんだ。

その過程のすべては、失敗じゃない。僕が僕の人生を見つけるためのかけがえのない経験なんだ。

心の動いたとおりに生きて借金したって、たとえ関さんの会社が潰れたって、だいじょうぶ。
関さんといっしょにダンボール生活するなんて、考えただけでワクワクする!
挑戦した分だけ、それがどう転んでも、僕の人生のエンドロールに書き込まれるエピソードが増えるんだ。
“どっちを選んだとしても、ひとつにつながっていく”んだから。

定年まで会社に勤める以外の選択肢を知らなかったころでさえ、僕は刺激的な人生を望んで社外に飛び出していった。

ドラマチックな人生。
成功も、失敗――あえて失敗と呼ぶなら――も、出会いも別れも、喜びも悲しみも怒りも、ありったけ詰め込んだ人生。
心をむき出しにして、目の前の相手のために真剣になって生きる。
だからこそ人一倍傷つくかもしれないけど、人一倍の感動だってきっとある。

それを信じて、僕は生きよう。
常識や人目や理屈を超えて、心の動いたとおりに生きよう。
いまは、僕以上に僕を信じてくれた関茂雄のために、でも依存ではなく僕の意志で、全力を尽くす。
一度関係を断った僕にもう一度手を差し伸べてくれた関茂雄が、
100パーセント……120パーセント、どんな瞬間も自分らしく輝けるように。

ここから、僕の人生が始まる。
失敗のない、彩り豊かな僕の人生が。
どう転んでも、何を選んでも、しあわせにしかつながらない僕の人生が。

失敗を恐れて縮こまっている誰かに、僕のKeyPageが届きますように。
あなたの可能性にあなた自身が気づきますように。

掲載日:2018年12月14日(金)

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CSO株式会社 最高執行責任者

鈴木崇之(すずき たかゆき)

失敗という概念が消えてから軸がぶれなくなったという鈴木崇之さん。人目を気にしながらも心を開いて生きようと試行錯誤してきたものの、失敗を嫌がる癖がなくなったのは20代の終わりのこと。その半生を追いました。

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