鈴木崇之 Episode3:人と関わりたい……その先に。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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ITの専門学校を出て、SEとして就職した。
他の同期と比べて責任ある仕事を任せてもらい、OJTの先輩にも恵まれた、充実した会社員生活。

というのも、数年経つともの足りなく感じられてくる。
「最近、成長がないかも……せっかくの人生、刺激的なほうがいいな」
憧れの先輩が辞めてしまったこともあり、僕は社外に目を向けるようになった。

MLMというものを教わった時、定年まで雇用されて働く以外の生き方を初めて知った。
自分でビジネスを立ち上げること、投資して資産を作ること……。
それは、限られた天才やお金持ちじゃなくても、誰にでもできるコトだったんだ!

希望を感じて飛び込んだ世界では結果が出ず、数年で去ることに。
抱いていたのは僕自身に対する希望じゃなくて、MLMという環境に対する希望だったんだ。
会社も退職してしまっている。僕には何が残ったんだろう。
挫折感に打ちひしがれながら、フリーランスのSEとして淡々と仕事をすること、1年。

日々誰かに必要とされることで、一度くじけた心も回復したのか、もう一度挑戦したいと思うようになった。
パソコンに向かって仕事をしてお客さんに関わるのも悪くはないけど、もっともっと人と関わりたい。
もっと、お客さんの人生にダイレクトに影響する仕事がしたい。

それならコーチか、カウンセラーか、コンサルタントか……。
これまでのキャリアを活かすことも考え、ITコンサルタントとしてスタートを切ることにした。

が、縁のあった会社での仕事は、想像の正反対。
ロボットみたいな人ばかりだった。同じ仕事をする仲間という感覚がない。
「そんなのもできないの? 」「これぐらい自分でやって当たり前だよね」なんて言葉の飛び交う職場。
ばあちゃんの理不尽を彷彿させるような暴言を吐かれた時の、怒りと諦めの気持ち……。

「人と関わりたかったのに。仲間やお客さんと、心の通った仕事がしたかったのに」
方向性がわからなくなる。また道を間違えたのかな?
だけど、たとえ社内で道を見失っても、それで人生を諦めたくはなかったから……。

以前興味を持ったコーチングやカウンセリングについてもう一度調べ、いくつかのセミナーに出席。
自分や人の能力特性を知り人生に活かす、という趣旨のセミナーに出た時のこと。
セミナー後に告知の時間があった。マーケティングセミナーの案内だという。

コーチングで独立するなら、マーケティングの知識もあったほうがいいかな。
そう思い、後日そのセミナーにも参加した。
その時点で、主催の男性に強い関心を持ったわけじゃない……んだけど。

「このあいだのセミナーにもいらしてましたよね」
「はい。あの時ご案内があったから、こちらにも来てみようと思って」
そんな会話から、セミナー後のフォローも兼ねてお茶をした。
「なんか、怪しいなあ……」そんな気持ちも正直持ちながら、なぜかもう一度会うことに。

「僕もね、ずっと迷走してたんですよ」
新宿のカフェの片隅。
ハキハキとエネルギッシュで明るい、明るすぎるくらいのその男性が、過去の黒歴史を語ってくれる。
「その場限り取り繕って売りつけて、あとは知らない。“売り逃げ営業”って言われてました。
 でも、本当は仕事ってそんなんじゃなかった。
 無理に売ったりごまかしたりしなくても、心と心で真剣に関わって孫子の代まで付き合える。
 そんな仕事を、いま僕はしてるんです」

人の心と関わりたい。自分を偽らずに生きたい。お客さんの人生に深く関わりたい。
そんな僕の想いとぴったり重なる、僕の理想を体現している、目の前の男性。

「鈴木さんが本気なら、僕は一生涯、鈴木さんの孫子の代までの覚悟で、付き合うつもりです」

会ったのは3度目。きちんと話したのもまだ2回ほどなのに。
僕の人生を僕以上に真剣に考えてくれる関茂雄という男に懸けようと決めたのは、僕が28歳の時だった。

掲載日:2018年12月14日(金)

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CSO株式会社 最高執行責任者

鈴木崇之(すずき たかゆき)

失敗という概念が消えてから軸がぶれなくなったという鈴木崇之さん。人目を気にしながらも心を開いて生きようと試行錯誤してきたものの、失敗を嫌がる癖がなくなったのは20代の終わりのこと。その半生を追いました。

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