鈴木崇之 Episode2:心と心で関わりたい。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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高校にも馴染めなくて、ネットゲームに熱中した。
昔から、ゲームとか漫画、ドラマ、映画……物語のあるものが大好きなんだ。
寝ても覚めてもそのゲームのことばかり考えて、下校したら部屋にこもる。オンラインのRPGゲームだ。

そんなつもりはなくても演じてしまう学校生活や、リアルな日常生活。
失敗はダサい、ダサいのは嫌、だから失敗したくない……。
そんな臆病な自分を脱ぎ捨てることが、そこではできた。ゲームの中では素の自分でいられる。

オンラインで仲間を見つけて、顔も本名も知らない人たちと冒険をしていく。
うまくいく事ばかりじゃないけど、失敗や想定外も含めたドラマチックなプロセスに日々踊る心。
仲間といっしょにひとつのストーリーを創っていくことに没頭した。

その過程で、そんな仲間と、ゲームに限らずいろんな話をするようになった。
気づけば僕はゲーム内で“相談屋”みたいなポジションになっていた。

そのなかのひとりと特別仲よくなった。とっても気遣いのできる、優しくてあったかい人だ。
好意を寄せられて、付き合うことに。

作っていない僕、本当の僕に、好意を持ってくれた女性。
「本当の自分を見せてもだいじょうぶなんだ……」

相手は5歳年上で、群馬県に住んでいる。僕の住む神奈川の葉山町まで、車で3時間くらい。
月1回のデートはドライブデートが多い。迎えに来てもらって、とめどなく話をする。

ゲームの話もするし、お互いの日常のコトや悩み、将来のコト……何でも話すんだ。
「生きるって、どういうことだと思う? 」
「宇宙の果てってどうなってるんだろう」
答えもないような事を問い掛けても、真剣に考え、答えてくれる。
究極、何も会話しなくても、ふたりのあいだに流れている時間そのものがあったかかった。

無条件に愛されているという感覚。
望まれている自分を作らなくてもだいじょうぶなんだという感覚。
大切な人に大切に想われている自信が生まれ、人に対しても誠実でありたいと思うようになった。

中学のクラスの中心人物だった山本くんと、高校2年でまた同じクラスになった。
媚びたり繕ったりせず、自分のことを堂々と表現してみんなに好かれている、憧れの人だ。

いまなら、違ったふうにできるんじゃないか。僕は彼に近づいてみた。
分け隔てのない山本くん。気づけばいつでもいっしょにいるような仲に。
キラキラ輝く彼の傍で過ごしていると、ゲーム外でも少しずつ心の内が表現できるようになってきた。
誰でも彼でもとはいかなくて、相手は選ぶんだけど。

そうして心を開いていったからか、学校内に好きな人が出来た。友達の彼女だ。
大切な人に嘘をつきたくないから。卒業前に群馬の彼女と別れ、友達に打ち明けた。
「一回、告白させてくれ」

結果的には、告白後付き合うことなく、群馬の彼女と復縁するんだけど。
人に対して自分なりの筋を通しながら、でも自分の想いを曲げずに、きちんと表現した経験だった。

完全に殻を脱ぎ捨てることはできないんだけど。
人にも自分にも嘘をつかず、こうやって、心と心で人と関わっていきたい。

掲載日:2018年12月14日(金)

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CSO株式会社 最高執行責任者

鈴木崇之(すずき たかゆき)

失敗という概念が消えてから軸がぶれなくなったという鈴木崇之さん。人目を気にしながらも心を開いて生きようと試行錯誤してきたものの、失敗を嫌がる癖がなくなったのは20代の終わりのこと。その半生を追いました。

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