佐藤皓紀 Episode3:“没頭”が人生を創り出す | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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東京でのシステムエンジニアとしての就職。理系で物覚えもいい僕の適正として、間違ってはいなかった。

パソコンに向かってサクサク仕事を終わらせ、定時退社する。
休みの日は動画サイトを見るかゲーム漬け。夕方時計を見て「また明日から仕事……ヤダな」とため息をつく。

「昇給ってどのくらいなんですか? 」
「1年で2千円くらいかな」
10年いても2万円しか給料変わらないのか……と愕然とした。
パソコン仕事ばかりで、コミュニケーション能力も落ちている気がする。
決められたレールの上にしかいられない感覚。毎日モヤモヤしていた、そんな時――

小学校の同級生から突然連絡が来た。
「久しぶりにメシでも食おうよ」
新宿で待ち合わせると、相手は40分遅刻! 正直、帰ろうかなと思ったけど。

再会した彼はやたらキラキラ、イキイキしている。うるさいくらい輝いている。
ちょっと煙たい一方で、うらやましかった。同い年の彼と僕、何が違うって言うんだろう?
聴くと、大きな影響を与えてくれる方がいるそうだ。
師匠なんていうからうんと年配なのかと思ったら、僕らより2つ、3つ上だという。

「これ読んだら人生変わるよ。あげるから、読み終わって興味あったら連絡してこいよ」
読んだらその人を紹介してやる、と。

家で動画サイトとゲーム以外に時間を使うことなんてなかった僕。
その『金持ち父さん貧乏父さん』をひと晩で一気に読んだ。
「こんな考え方があるのか! 」「定年まで雇われるだけが人生じゃないのか……」
ワクワクした。同時に、「そのために何したらいいんだろ? 」という戸惑いも生まれた。

そうして、そのお師匠さんに会わせてもらった。
それがキッカケで、副業で広告代理店事業を始めた。人ともっと関わりたいと思うようにもなった。
定時ダッシュして家でゲームするだけだった僕が、SNSの集まりを探して顔を出すように。
週末はその師匠の紹介でセミナーに出席。前向きで主体的な人が大勢いる。
「何かに没頭して、夢中になって生きてるのって、ステキだな! 」

参加するセミナーではしばしば「自分が源」ということが言われる。
すべては自分が原因になっていると言われても、最初はピンと来なかった。
自分じゃどうしようもないことだって、世の中にはあるじゃないか……。

そんなある日。
よく連絡を取る友人と会っている時に、ふと思いついて普段よりリアクションを大きくしてみた。
普段よりちょっと大きく驚いてみせたり、前のめりになって頷いてみたり。
結果、彼はいつも話さないような深い心の奥をさらけ出してくれた。

相手は何も変わっていないのに。
「自分が原因、源って、こういうことか! 」

考えてみたら、赤の他人でも、電車内でイライラしている人を見るとこっちもイライラする。
自分のあり方が他人に影響しないなんてことは、ありえないんだ。

代理店事業も夢中になってやった。
集まりに参加するだけじゃなくて、僕自身がイベントを主催するようにもなった。
そもそも人と会うのが楽しくて、営業を忘れて楽しんでおしまいというのがほとんどだったけど。
決められたレールの上にしかいられないと思っていた僕の価値観が、どんどん変化していった。

「何かに没頭することで、人生は創り出せる。楽しさや価値は、人生は、自分で創り出せるんだ! 」

その後、彼女という“没頭”の対象が出来たので、代理店事業はやめたんだけど。
営業職に転職したり、またエンジニア職に戻ったりしながら、副業でシェアハウスの運営も経験。
最初から結婚するつもりだったので、シェアハウスをやりながら彼女とも入籍。

やってみたいと思った事はやってみるし、違和感が生まれたら執着せずやめる。

そんな時、工学系の大学に通っていた弟が就活に悩んでいることを知った。
内定の取れないまま卒業を迎えてしまうとのこと。

工学系ということで、コミュニケーションは苦手なほう。だけど、素直でとってもイイ奴だ。
「何か力になってやれないかな……」
そう思って僕は、昔エンジニアとして勤めていた会社に連絡した。

掲載日:2019年01月25日(金)

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オモロく生きるエンジニア社長

佐藤皓紀(さとう ひろき)

IT 企業の枠を超えて活動する、株式会社 Luxy の佐藤皓紀さん。対人恐怖症や赤面症を持っていた子ども時代から、どんなキッカケを経て人と広く深く関わる生き方に変わっていったのか......?その半生を追いました。

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