カルロス Episode2:人を傷つけ生きてきた日々。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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「おかえり。また来たの? 今度は何したん?」
2度目に少年鑑別所に入った時には、先生にも顔を覚えられていた。

「3ヶ月前やったからイイっしょ」
そう言って回避しようとする、ぎょう虫検査のためにガラス棒を肛門にぶっ刺すクッソ痛い検査も、毎回やった。

中学生の時に、絡んできた不良を父親に教わったとおりのやり方で殴り返すと、相手はあっさり倒れた。
それから俺は、人に言えないような事を腐るほどやってきた。
絡まれて殴り返すのを目的に、夜な夜な繁華街を歩き回った。捕まることもあった。
高校は出席日数が足りないのと素行が悪かったのとで卒業が危ぶまれたが、音大になら受かると思い1年弱の独学で合格した。
大学に合格している者を出さないわけにも行かない。出席日数の足りない、少年鑑別所の常連である俺を、高校も卒業させてくれた。

親と決別して実家を出てからは、様々な方法で金をかせぎ生活をした。
ガタイが買われて右翼団体のボディガードをしたり。
メンタルマジックの技術が買われて非合法なカジノに勤め、イカサマで金持ちを負かして金を巻き上げたり。
サラ金の取り立ての仕事をしたり。
レストランバーでピアノを弾いて稼いだり。

そんな生活を何年続けたころだろう。

悪さの数とスケールのでかさを競っていた、弟のようにかわいがっている後輩が、俺にあるものを見せてきた。

掲載日:2017年10月20日(金)

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マジシャン(メンタリスト)

カルロス・ニシオ・セルバンテス(かるろす・にしお・せるばんてす)

9歳でマジシャンを志したメンタリスト、カルロス・ニシオ・セルバンテスさん。過酷な幼少期、逮捕歴もある青年期を経て、ある日……そんな自分にも残っていた優しい心に気づいたきっかけとは?

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