松本佑哉 Episode4:今度は僕が、誰かのために。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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2016年9月に始めた店。初めの数ヶ月は彼も頑張ってくれた。

年が明けてから様子が変化する。
というか、エネルギーが切れたんだろうな。
エネルギーを持続的に発揮するタイプじゃないんだ。

経営するうえで一番大変な集客は、僕が担当。
僕が一日に5,60人に声を掛け、24時間いつでもすぐに返信してコミュニケーションを取り続ける。
体重は10キロ落ちた。

声を掛けて来てくれた人を次の来店につなげるところは彼に任せたかったのだけど。
店で適当に話を合わせるだけじゃ、お客さんはリピートしてくれない。
継続して来てもらうためのこまめなケアの重要性を、彼は知っていても、行動はしなかった。
ずるずると、その部分も僕が引き受けるようになった。

店だけで成り立ってはいない経営だ。
僕が個人的に取ってくるコンサルで家賃を払ったり、僕や彼への給料を払ったりする。
するとどうしても僕の発言力が大きくなり、彼の肩身は狭くなる。
さすがに彼にもわかるんだ、自分が店の役に立っていないってコトが。

自分の居場所が欲しかったんだろう。
まだまだ火の車の店で、集客やファンづくりを手伝うでもなく彼は、自分の事業立ち上げのための作業を堂々とするようになった。
もちろん注意はしたけど。
彼はプライドを履き違え、コトもあろうに噛みついてきたのだった。

数ヶ月のあいだにあれこれ証拠を集め、これ以上は無理だというところで迎えた株主総会。
僕らは全会一致で彼を追い出した。

挫折がないとか失敗をしないとか器用だとか、見られるんだけど。
一度失敗してそれを取り返すのに労力を掛けるのが嫌だから、僕は前もって周到に、人の何倍も準備してコトに臨むんだ。
そんな僕の人生のなかで、店を始めたのがほぼ唯一かな、準備が完璧じゃないのにコトに踏み切ったのは。

彼の性格も能力も見極めていたつもり。
実際に経営してみて、そこを見誤ったわけじゃないとも思う。

間違っていたのは、リスクの取り方かな。
彼と組むことで生まれるロスを僕のコンサル報酬で補填する、というリスクの取り方。
そこを間違った自分が悪い。
彼の生み出すロスを僕が補填するのではなく、ロスを生まない形を取るべきだった、と反省した。

とはいえ、どのみち30で始めるつもりだった店だ。
初めのうちは店とお客さん、僕とお客さんの信頼関係を強固に。
ある程度コミュニティとして場のあたたまったいまは、もとからやりたかった“人と人をつなげる”ということに積極的に取り組んでいる。
すでに活動している人同士をコラボさせてうちでイベントをしたり、いま活躍している人にそのさらに先を開かせるきっかけを作ったり。

せっかくおもしろいコンテンツや熱い想いを持っていても、それを広げる事の苦手な人は多い。
もとから人や場のプロデュースのしたかった僕だ。
長年学んだり身につけたりしてきたものを、そんな人たちの役に立てる仕事は、最高に楽しいよ。

“努力の仕方の下手な人”というのもいてね。
イイものを持っているのに、苦手を埋めなきゃ、自力でやらなきゃ……と実りにくい努力を続けると、貴重な時間を浪費してしまう。
僕のところに来てもらえれば、僕にできる事は提案するし、僕の人脈で間接的に助けることだってできる。
豊美姉さんが僕にしてくれたように……いま力を発揮しきれていない人のために、今度は僕が力になりたいんだ。

おもしろい発想やエネルギーを空回りさせず、いろんな人と付き合って、助けてもらったらいいよ。
その過程では、もちろんあなたが人を助ける場面だってあるだろう。
ステキじゃないか、その循環。

あ、でもそのなかで、付き合う人の見極めはしっかりね。
特に経営をする人は、情にほだされちゃダメだよ。

こんな僕のKeyPage。役に立ててもらえたらうれしいです。
そして、ぜひ店に遊びに来てね!

掲載日:2018年09月02日(日)

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戦略コンサルタント、Dining Cafe & Bar Actiオーナーシェフ、公認会計士

松本佑哉(まつもと ゆうや)

ダイニングバーを経営する松本佑哉さん。料理人を志した学生時代から紆余曲折を経て東京に出た彼に大きな影響を与えたのは、ある女性との出会いでした。現在の松本さんの活動に至るまでのエピソードを振り返ります。

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