松本佑哉 Episode1:石橋を叩いて、めざす道を。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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中学校の近くに、めちゃくちゃウマいクレープ屋がある。

たいていの商品が、1個250円。僕の小遣いは月に1000円。
どんなに切り詰めても週に1個、月に4個しか買えない……。
たらふく食ってみたいなあ。成長期だもの、そんな気持ちがだんだん大きくなって。
ある時、ふと気づいた。卵に小麦粉に……家にあるもので作れるじゃん。
フルーツとクリームチーズだけ小遣いで買えば、あのゴージャスなクレープがいくらでも食べられる!

僕が料理を始めたのはそんなのがきっかけだった。
両親が共働きということもあって、昼ごはんやおやつは自分で作るように。

もともと好きだった料理番組もよく見るようになった。
「男子ごはん」のケンタロウさんに特に惹かれた。
あの人は料理研究家というより、プロデューサーなんだよな。

そう、もともと僕はプロデューサーのような存在に憧れていた。
住んでいるのは滋賀県。わかるかな? ここ、シゲキが何もないんだよ!!!
小学生のころには、将来は都会でチャレンジしようと決めていた。

テレビを見れば、お笑い番組とか、経済や技術的なニュース、いろんなおもしろいものがあるのに、
僕は滋賀の片田舎に住んで、それらを消費することしかできない。
CDショップでアーティストのCDを買う立場は、おもしろいものを生み出す立場と決定的に違う。
そう感じていた。

学祭なんかに携わっても、比較対象が三木谷社長やホリエモンだから、「子どものする事だからこんなもんだよな」なんて冷めていて。
目の前で楽しめるバスケ、高校からは空手……部活にだけ熱中する学生生活だ。

料理人になろうと考えたものの、親の性格を考えて、調理師ではなく大学で管理栄養士をめざすことにした。
店を持ちながら、食を切り口としたコンテンツプロデューサーみたいな事がしたいな、と。

センター試験を受けた翌日に、料理人として店を持っても一度潰れたら負債を抱えて立て直すのがきついな、と考え直す。
すぐに公認会計士志望に切り替えた。
これで、事業のスタートアップに必要な事が半分学べる。
そうすれば自分の事業はもちろん、人の事業の立ち上げを助けることもできる。
プロデューサーには必要な力だよね。

リスクを取らず、絶対に転ばないように周到に準備するタイプなんだ。
ちょっと石橋を叩きすぎるキライもある。

本当は東京の大学に出たかったけど、親は猛反対した。
代わりに頼み込んで、地元の大学に通う代わりに公認会計士をめざす専門学校の費用を全部出してもらうことに。
ダブルスクールを選んだ。
20代で力をつけて、30で自分の城を持つなり何なりしよう、そんな青写真を描いて。

学生合格は難しいと言われる公認会計士の試験には、4年次に合格。
12月からバイト採用される監査法人に就職するため、大学4年の冬には念願の東京暮らしを始めたのだった。

掲載日:2018年09月02日(日)

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戦略コンサルタント、Dining Cafe & Bar Actiオーナーシェフ、公認会計士

松本佑哉(まつもと ゆうや)

ダイニングバーを経営する松本佑哉さん。料理人を志した学生時代から紆余曲折を経て東京に出た彼に大きな影響を与えたのは、ある女性との出会いでした。現在の松本さんの活動に至るまでのエピソードを振り返ります。

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