僕とその女性は、共通項がありました。それは、クラシック音楽は好きだけれども、単なるいちファンであるということ。音大を出ているわけでもなければ音楽家でもない。音楽に関してのスキルや知識、経験は何もなく、業界のことも知らなければ人脈やコネがあるわけでもない、でも、新しい分野への挑戦が昔から好きだった僕は、胸を高鳴らせていました。子供の頃から好きなクラシック音楽を使って、最近出会って好きになった朝活を開催する。この心躍る感覚を、おそらくその女性も感じていたと思います。僕たち2人には、自分たちの理想の朝活を作るという強い意志がありました。
そして、途中で僕たち2人に共感してくれる人も現れ、3人体制で朝活の立ち上げをスタートさせました。
まずは会場選び。伝手もコネも何もなかったので、それだけで2か月ほどの時間を費やしました。
ネットで見当をつけて、手分けしてひたすら現地に出向いてお店と交渉していきました。僕たちは「優雅な空間を作る」ということに非常に強いこだわりを持っていたので、その世界観が伝わらなければ開催する意味がないとさえ思っていました。そして、私たち3人全員が、お客さんにどれだけ喜んでもらえるかが最も重要だという、非常にホスピタリティの高い考え方を持っていました。
会場が決まると、今度は演奏家を探しました。人脈が無かったので、初めは他の演奏会に飛び込みで行き、話だけでもさせてくれとアポを取りました。そして我々の考え方に共感してくれた人だけに出演を依頼しました。
集客も、ようやくイベントページを立ち上げて、演奏家との交渉と並行してやり始めました。許可も取らずに、音楽会の会場の外でビラを配ったりしました。既存のファンよりも、これから「クラシックっていいね」と思ってくれる人を育て、増やしたい。僕たちはそう強く思っていたので、敢えて初心者向けのコンサートに出向きました。こうやって地道に、第一回『朝♪クラ』の参加者を集めていきました。
そして迎えたイベント当日。
前の晩はあまり眠れませんでした。というのも、配布するプログラムの準備をしたり、準備が漏れていることはないか確認したりと、あらゆるシミュレーションをしていたからです。
そこには、僕たちが理想とした世界観が再現されていました。
青山にある新しくてオシャレで、窓から清々しい朝の日差しが差し込む、優雅なカフェ。初回にもかかわらず、40人のお客さんが集まりました。プログラムを手にしたその観客たちに囲まれて、楽器が静かに、優雅に、音を奏で始めました。
この日を皮切りに朝♪クラは瞬く間に大きくなり、やがて朝活という枠を超え、そのブランドから数々派生する新たなプロダクトを作り出しました…
朝♪クラというブランドを通して、クラシック音楽の素晴らしい世界を世の中に広げていくために。
これが僕のKey Page…
掲載日:2016年11月23日(水)
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加藤夏裕のエピソード一覧
『朝♪クラ~Asa-Kura~』代表
加藤夏裕(かとう なつひろ)
カフェでクラシック音楽を聴き、参加者同士で交流する朝活「朝♪クラ」を主催している加藤夏裕さん。その斬新なブランドを確立させたキッカケは、子供時代の体験と、たまたま参加した朝活での出会いだった。