杏奈薫 Episode2:モテることとしあわせと。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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「告白、これで11人目」

10年掛けて身につけてきた心理学の知識やモテテクニックが功を奏し、高校生になった私は少しずつ男性にモテ始めた。

モテるため、という基準で高校もアルバイト先も選んだ。校則のゆるい高校、かっこいい男の子のいるバイト先。
髪を染め、ピアスホールを空け、華やかな自分を演出した。それは、恋愛経験がないというコンプレックスを埋めるためでもあった。
バイトのない放課後は友達とナンパスポットに繰り出す日々。

報われなかった過去を埋めるには、それに過去私をあしらった人たちを見返すには、多くの男性に好かれることが必要だ。
そうすれば好きな人にも愛されて、どんな傷も満たされなかったおもいも報われるはず……!!

そんなおもいで生活していた。告白された人数を真剣に数えていた。

「どうしてこんなに虚しいんだろう」

高校に入って、気の合う友達も出来た。彼氏も作れるようになったし、告白されることも増えた。
それでもなぜか“好きな人に好かれる”ということが一度も叶わなかった。
「好き」と言ったくせにバレンタインにしか会いに来ない彼氏、何ヶ月も音信不通になる彼氏、女を下に見る彼氏。
好いたり付き合ったりしてくれるのは、そうした不誠実なイケメン。それか、タイプじゃないものの性格のイイ人だった。

出逢いを増やして恋をしても、好きな人の親友に好かれてしまったり、いいなと思う人が私の友人を好いていたり。
人よりこんなに努力しているのに、どうして私だけうまくいかないんだろう。そういう星のもとに生まれたのか……。
「恋がうまくいっている人と人生を交換したい」何度もそう願った。

いつからか、両親の喧嘩が増えていた。親戚や近所で誰が離婚したという話も聞くように。
あんなに仲良くてしあわせだったのに……みんなこんなふうに変わっちゃうものなの?

私は“しあわせ”になりたい。
お金持ちでなくても特別でなくてもいいから、ただ普通にあたたかい家庭を持って、子育てしてみたい。
それって、“普通”にしていたら叶わないものなの? それとも、みんなが普通で、私が変なの?
こんなに頑張り続けても、傷つく事ばかり。しあわせなんか願うから傷つくのかな……。

恋愛にしあわせを求めるのは、もうやめよう。
これ以上傷つかないように、恋愛なんてゲームだと思うことにするんだ。

そんな時だった。

「薫の初めての彼氏が俺だったらよかったのにな」
初めて言われた言葉。想像さえしていなかった。恋愛経験が少ないと嫌われる、と思っていたのに。

恋愛経験が少ないこと。いじめられていたことや、本当は怖がりでいつも強がっていること。
自信がなくて時々消えたい気持ちになってしまうこと。
そんな私のすべてを受け止めてくれる人だった。

タイプじゃないからと振っても、「この気持ちは止められないから、待つよ」と言われた。
付き合ってからも「俺は薫のすべてを受け止めたい。薫の初めても俺が全部欲しかったな」なんて笑う人。
こんなに心のあたたかくなる恋は初めてだった。

この人となら結婚してもしあわせになれるかもしれない。初めてそう思った。

希望は捨てずにいよう。しあわせな恋愛と結婚をして、あたたかい家庭を作ろう。
そして、人生に絶望した子どもや大人をひとりでも減らしたい。過去の私のような人を。

そのしあわせな経験を支えに、私は臨床心理士の資格取得をめざし、大学に進学した。
加害者が非難されて片づけられる世界を変えるために、芸能人か少年院のカウンセラーになること、どちらかを実現するために。

掲載日:2018年01月16日(火)

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恋愛コンサルタント

杏奈薫(あんな かおる)

好きな人には必ず好かれ、そうでない人には人として愛される――「100%両思い体質」の生き方を伝える恋愛コンサルタント杏奈薫さん。初恋は4歳、6歳で死を考えた幼少期から現在に至るまでのストーリーとは?

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