ある時、モデル事務所に所属する友達から、「女の子足りなくなっちゃったの。1日だけでいいから、来るだけでいいから!」と、撮影会のアルバイトに呼ばれた。こんなチビで、モデルなんて務まるわけがない。そもそも、人前に出たり写真を撮られるなんて……。ぎこちなかったし、苦痛だった。でも、そこの社長が「やる気があれば成長しそうだから、やってみる?」と言う。
小柄な方が都合のいいスタジオ内での作品撮りもあるし、ポーズで身長がわからないように撮れることなども知り、その技術が自然と身についた。
コンプレックスだらけの自分だけど、自分を商品として客観的に見れるようになり、それは大きく自分を変身させた。
ひょんなことからダンサーに憧れ、万が一受かったら……というノリで、友達が何人も落ちたステージのオーディションを受けてみた。すると、なぜか合格。急にダンサーの仕事、しかもポールダンスをすることに。モデルも多く所属していた所に、こんなにチビなのに受かることがある。世の中、やってみるものだ。そして、やってみたら、踊ることは天職だとわかった。生き生きしたし、チビな自分を大きく綺麗に見せる動き方など独自のコツをどんどん磨いた。その経験もまた、化粧、髪型、精神面などいろんなものを変えた。
ただ、そういう場には外国人ダンサーも多数いる。海外でもモデルをしている彼女たちは本当に長身でスタイルが良く、見とれるけど絶対に並びたくない美しさだった。そんなある日、中でも一番目立つ長身ダンサーと隣のステージで踊ることになってしまった。MCが「みんな見て、一番長身と一番ミニが踊るよ!」と掻き立てる。心の底から嫌だったし、恥ずかしかった。
ステージを終えると、その長身の子が話しかけに来た。小馬鹿にされるのかと思って身構えると、なんと飛び出した言葉は
「私、あなたの体、大好き!」
え? 笑いに来たのかと思ったら、こんな事を言う。
「小柄で華奢なのに、メリハリがあるでしょ? 日本人なのに太もももお尻もパンとしてて。私なんて、こんなにデカいから!」
ものすごく驚いた。チビな所も、コンプレックスだった太ももやお尻も褒められた。そんな見方があるなんて!! 見方次第で、コンプレックスは長所になるのかもしれない。それを教えてくれた彼女に、有難うを伝えたい。
掲載日:2017年09月08日(金)
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セクシーボディメイクトレーナー/作家
恋愛や人生のお悩み相談員
アンドウミカ(あんどう みか)
フィットネススタジオのトレーナーであり、海外のショーで踊ってきた経験もあるアンドウさん。そんな彼女は昔、自身のルックスに劣等感を持っていた少女でした。劣等感に打ち勝った彼女のキッカケとは……?