安彦大地 Episode3:歌舞伎町No.1学生ホストに。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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目標もなくなった僕はエスカレーター式で大学に進学し、スロットとピザ屋のバイトと女の子との遊びや飲みをルーティンする生活を送った。

ある時、スロットをしている僕のケータイに地元の友人から電話が掛かった。
「俺さ、いま歌舞伎町でホストやってんだけど、お前チャラそうだからやんない?」

時給4千円と言われ、興味本位でその話に乗った。蓋を開けてみると日給4千円の聞き間違いだったのだけど。
日給4千円に、指名が取れるようになれば、月10万くらいにはなるだろうか。
バイトして飲んで寝るだけの生活もつまらないし、大学の帰り道だし。僕はその店で働き続けることにした。

高校まで7股など平気で掛けていた僕が、ここではまったく相手にされなかった。
なんで指名取れないんだ?この世界はどういう仕組みで動いているんだ?
気持ちがくじかれて辞めようとしたこともあったが、自分より稼いでいる先輩とモメた時に稼ぎを理由に馬鹿にされたのが悔しくて猛研究。
教育担当のような立場のイケメン社員を徹底的に観察したり、自分から彼に話を聴きに行ったりした。
高校時代にあのチャラ男に教わった事を愚直に続けたら結果が出たように、ホストの仕事でも始めて6ヶ月で一気に売り上げが伸びた。

ただ、月の売上が100万円を超えてしばらくすると、また成績が下がってくる。
大学の講義も最低限出る必要があるから勤務日数も限られる。同伴もアフターもできない。社会人と比べたら不利だ。
学生では月100万が限界なのだろうか? 悶々としていたころ、店に新しく入ってきた男が僕の価値観を壊してくれた。
そいつは、とにかくしゃべる。しゃべりで自分を女の子に印象づけるのだ。

これまで僕のロールモデルにしていたのは、いわゆる“ホスト”らしい先輩たちだった。
芸能人やゲームに出てくるキャラクターのような端正な顔立ちのホストが、女の子にクールに振る舞う……そういう人たちを真似て僕はここまで来た。
が、冷静に考えて、ジャニーズみたいな容姿の男と同じ闘い方をそこそこの容姿の男がしたところで、頭打ちだ。
その気になってその男が女の子をもてなすさまを観察すると、話の内容などたいしてないのだった。
「女は話の中身じゃない、雰囲気で喜ぶんだ」「女と会話するのに内容なんか要らない」

彼のその闘い方を僕は採用した。
イケメンと互角に張り合うため、それ以上に成績を伸ばすため、出逢って5分10分で自分を印象づける方法を研究、実践、試行錯誤。
それが功を奏した。月の売り上げが1千万を超え、僕の手もとには毎月500万円強が給料として渡されるようになった。
大学生としては初めてだと言われた。店内でではない、歌舞伎町内で。
ホストを始めて1年半が経っていた。

両親を心配させたくないおもいはあったので、ホストをしながら就活もしたら、なぜか一部上場企業の内定を取ってしまった。
途中から自分で授業料を払っていたとはいえ、まだ何も恩返しできていない両親の喜ぶ姿の見たいがために、内定したその会社への就職を決意。
卒業できなければ内定が取れても意味がないので、その年の9月に僕はホストのバイトを辞めた。
4年の後期で必要単位数をぴったり揃え、大学を卒業、僕はその不動産会社に就職した。

掲載日:2017年10月13日(金)

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スマートアクシス株式会社 代表取締役
SmartMen'sCollege代表講師

安彦大地(あびこ だいち)

水泳ではインターハイ3位の成績を残し、歌舞伎町の学生ナンバーワンホストでもあった安彦大地さん。
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