そうやって、面白くない学校での生活を過ごしていた時、ある事件が起きました。
父の友人が借金をしたまま行方がわからなくなり、父はその友人の連帯保証人だったこともあり、それと重なるように父方の祖父にも多額の借金があることが発覚しました。毎月の返済が追いつかず、父親はサラ金にも手を出し、やがて借金の総額は数千万円にまで膨れ上がりました。
父は一生懸命働きましたが、終わりのない地獄に向き合えなくなり、やがて酒に溺れました。両親のケンカは絶えず、僕と妹はいつも父の怒号が収まるまで布団の中に隠れていました。
その矛先が僕に向くのは時間の問題でした。
ただでさえお金がないのに、僕の病気は進行していきます。体は弱く、毎年検査入院を繰り返し、普通の子供よりもはるかにお金がかかってしまいます。ある時、酒に酔った父は僕にこう言いました。
「お前なんて、生まれてこなければよかったのに。」
今までで一番深く心に傷を負った瞬間。僕をもっと暗い闇の中へと突き落としていく…
「僕は一体、何のために生まれ、何を信じれば良いんだろう…」
僕は生きる意味を失い、そして全てを呪いました。
「もうこんな世界でいくのは辛すぎる…死にたい。」
現実を受け止めることができず、「死」が僕の感情を侵食していくことがわかりました。
…だけど、それ以上に僕の感情の中に彷彿するものがありました。
「…悔しい」
それは悔しさでした。悔しくて悔しくて仕方がありませんでした。誰にも負けたくなかった。絶対に変わらない現実を前にしても、僕はまだ自分の人生を諦めることよりも、悔しさがそれら全てを凌駕していました。
「いつか絶対に見返してやる!俺以外のやつら全てを見返してやるんだ!」
その日から僕はもっと強くなろうと決めました。やがて誰にも頼らず、心から信用する人なんていらなくなりました。
掲載日:2018年10月06日(土)
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株式会社オモロー 代表取締役
寺島裕人(てらしま やすと)
沢山の仲間に囲まれながら、誰かの「やってみたい事」を実現させる活動を行う寺島裕人さん。生まれつきの重病と、精神病の狭間で見た人の闇。「人」との出会いを通じ学んだ「変わり続けること」の真意 とは...