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キッカケインタビュー

すべての女の子が輝ける社会を。現役キャバ嬢の夢のキッカケ。

青木人生(あおき ひとせ)

株式会社クレスタ営業兼広報担当

この鍵人のコンテンツ:

キッカケ記事

いま何やってるの?
「艶塾」を立ち上げ、ナイトワークに限らず様々な職業の女性、そして男性がイイオンナとしてイイオトコとして輝けるよう日々発信中。また、ナイトワークの女性でも借りやすい物件に特化した不動産会社で営業兼広報を担当している。

自分らしく輝く女性たちを輩出する「艶塾」に、ナイトワークの女性向けの不動産会社でのライター業務を手掛け、しかも、現役キャバ嬢。パワフルに活動する青木人生さんの尽きせぬ原動力とは……?

キッカケ①:これぞ女の生き様...「静岡のシャネル」との出会い

いったいなんだってマミーは、あたしをこんなお嬢様学校に入れたかったんだろ……。


マミーの思いに応えたくて、正直したくもなかった受験をして、
生活費を浮かすためにおばあちゃんの家に引っ越してまであたしが入学したのは、
中高一貫のいわゆる「ザ・お嬢様学校」だった。


社長令嬢なんて普通にいた。
そうでなくても、両親が揃っていて経済的にもそう不自由しない女の子たち。
それがあたしの同級生だった。


本当のお父さんの顔も覚えていないあたし。
マミーが女手一つであたしを育てていたから、
修学旅行前の集金みたいなお金に関するお知らせを持って帰るのもなんか苦痛。


そんな学校の中でなんだか場違いに感じたこともあったけれど……

あたし、そこでひとつ心に決めたコトがあった。


このクラスで一番稼げる女になってやる。


マミーの出勤するころにあたしはいつも帰宅。
朝はカーテンも締め切った薄暗い部屋にぽつんと置かれた、

お弁当か昼食代。
あたしはいつも思っていた。
離婚した女性がひとりで子どもを育てることが大変な社会って一体なんなの。


あたしは稼げる女になろう。仮に女一人でも苦労しないくらい稼げるようになるんだ


そんなあたしに天は必要な出会いを用意してくれていた。


中学2年の時に、職業体験ってあったんだけど、
あたしは街の洋装店に2週間ほどお世話になったの。


そこを切り盛りしていた女性が、もうね、とにかくカッコよかった!
女手ひとつでふたりのお嬢さんを育てて、オートクチュールの洋服を扱う洋装店を支えていて。
「静岡のシャネル」ってマミーは呼んでたっけ。


何がステキかって、働いている姿はもちろん、
過去の苦労をみんな笑い飛ばしちゃうその人生に対する姿勢にあたしは惚れちゃったの。


マミーは、どちらかというと大変な事をそのまま大変と表現する人だった。
きっとそれには理由があったんだろうと思っていたけれど、それがちゃんとわかるのはもっと先の話。
あたしはね、同じ苦労するなら
苦労を苦労と思わないような、どうせなら人生のネタにしちゃうような女性でありたいと思ったの。


苦労も理不尽も何もかも笑い飛ばして、今日を、そして未来を生きる糧に変えて、
力強く生きてゆきたい。
そんな女になりたい、とあたしは未来に誓ったんだ。

キッカケ②:なにが「個を強くする大学」!?

その出会いから服飾の仕事を夢見て、専門学校進学を希望したあたし。
けれどもマミーはあたしに大学を出てほしいと言い出した。


反発もしたけれど、女ひとりで生きていくには日本だと学歴がないとな、とも考え直し、
ならばせめて過ごしたい場所で、と東京の大学を受験。


いくつか受験したなかで、なぜかビビビッと来た大学があった。
滑り止めの大学に行くくらいならとマミーを説得して浪人、
同級生の中でルームメイトになってくれる子を探して、東京の予備校に通ったの。


翌年あたしは希望の大学に合格、同時にアルバイトも始めた。
銀座の百貨店で憧れの服飾の仕事に就いたの。

実家に仕送りの増額を頼みたくないあたしは、
大学に行きながらも社員並みにシフトを組んでみた。
けれど、じきに限界も見えてきて……。


そんな時、誘われたんだよね。「銀座のキャバクラで働かない?」って。


あたしにとって夜の仕事は、マミーをあたしから取り上げてあたしを寂しくさせた仕事だったから
そんな仕事したくない……初めはそう思った。
だけど、生活を考えたら背に腹はかえられなかった。


最初のうちは本当に大変で、突然接客中に声が出なくなって!
今思えば心因性だったと思うんだけど。
マミーはこんな大変な思いをしてあたしを育ててくれたのか、なんて痛感して、
その度に泣きそうになっていた。


それでもなんだかんだ続けていった夜の仕事。
生活費を稼ぐために必要だったし、
この先マミーの面倒を見るかもって考えたら、お金はないと困るもの。


何度かお店を移りながら、だんだん評価されるようになって、
自分の中でも夜の仕事への偏見が薄らいできた。
本当にいろんな理由でキャバ嬢をやっている子がいる。
彼女たちの生きる姿勢に心を打たれたの。


夢のために、学費を払うために、親のために、子どもを育てるために……。
地方から来た子も半分以上だった。みんな一生懸命だった。


大学で専攻していたのがジェンダー論だったこともあって、卒業論文は
世間では軽蔑されているこの仕事、そして女の子たちにスポットライトを当てた内容にしたの。

そうしたら、その論文ね、

ほとんどの学生のそれが載せられる大学の卒業論文集から省かれたのよ。


扱っているものがキャバ嬢だからだろうって教授は言っていた。

「個を強くする大学」


そう謳ったその大学の校風に惹かれて、あたしは入学を決めたはずだったんだけどな……。
人に流されず、社会の言いなりにならず、
自分の頭で考え、心で感じて自分なりの答えを導き出してゆく。
そんな学生を育てる大学……ってあたしは思っていたから、なんだかこの時はショックだった。


ゼミの教授からOKももらって提出した論文が、主題ひとつでそういう扱いを受ける。
それは、大学の本音かもしれないけれど、社会の本音なのだろうな。あたしはそう思った。


そんな社会の本音とあたしは闘ってゆこう。
もともと旺盛だった反骨精神にますます火をつけた出来事だったんだ。

キッカケ③:伝えたいコトを伝えきるまで、辞められない!

4年間続けた昼のアルバイト先に就職したあとも、夜の仕事は続けていた。

会社組織と違って、本気でやれば女でもこの仕事なら上に行ける。
そんな希望を見せてくれた夜の街のママや先輩たちとの出会いもあり、
誇りを持って続けていた夜の仕事。

アパレルの仕事を辞めて夜の仕事一本になった時期もあったり
不動産会社に就職して自分の向き不向きの仕事があるってことに気づいたりもした。

縁あって1年ほど美容サロンの経営もした。
結果的にそこはすぐにたたむことになったのだけど、
「ルナさんが挑戦しているのを見たら、あたしにも何かできるかもって思える」
と言ってくれた後輩の女の子たちの期待もうれしかったな。
あ、「ルナ」っていうのはあたしの源氏名ね。

結果はどうあれ、あたしが挑戦することが誰かの希望になるんだ。

もしかしたら、「静岡のシャネル」があたしに夢を見させてくれたように、
あたしも誰かに夢や希望を与えられるようになっているのかな。



そんな時に、ふとした事から
これまでの経験や女性としてのオモイを文章にまとめるようになったりして。

そんな事をしていると、ライターの仕事をちょこちょこもらうようになってきた。
夜の仕事をアルバイトとして再開しながらライター業務も請け負い、ものを書く楽しさを実感し出したの。
女の子を輝かせたいと思い、「艶塾」のことを考え始めたのもこの頃。
伝えたいコトであたしの頭は溢れていた。

そうしたらね、前から縁のあった不動産会社に
女の子のための記事を書いてくれって声を掛けてもらって、
営業兼広報として働くことになったの。

学生の頃から感じてはいたんだけど……夜の仕事をしていると、
どんなに稼ぎがあっても収入証明を見せても
銀行融資も下りないどころかアパートひと部屋借りられないんだ。
前の不動産会社にいたころにも
夜の仕事で知り合った女の子たちによく家の相談を受けていたから、
自分以外のことでも痛感していた。

もとはそのころに今の不動産会社の人と知り合ったんだよね。
夜の仕事をしている女の子の賃貸に強い会社だからと、私自身の引っ越しでも世話になったし、
その後女の子たちから相談を受けるたびにあたしはその会社を紹介していた。
当時は社員でもなんでもなかったんだけどね。


その不動産会社でコラムを書いたり営業をしたりしていた矢先に、
テレビ番組の「マツコ会議」出演の話が会社に来たの。

ちょうど仕事が順調になっていた時だったから、会社の宣伝になるかも、ともちろん引き受けた。

かなり憧れの目で見られるようになってきたキャバ嬢だけれど、本当はまだまだ生きづらい現実。
クレジットカードも作れなければ保険も下りない。

アパートを借りることもできない社会的地位を語り、
あたしの関わってきた女の子たちの姿を語り……、

そう、語っていた時にね、マツコさんがほかの女の子たちに言ったの。


「ほら、こうやって一生懸命みんな働いてんのよ!!! 」



その言葉はね、あたしの心にあっという間に浸透してグラグラ動かしたの。

ちょうど前後して、前に勤めていたお店でお客様に殴られる事件もあってね。
その事後処理でもめたこともあって、キャバ嬢は早く辞めようって思っていた。

だけどね、そこで心をグラグラ動かされたあたしは思ったの。
あたしが現役キャバ嬢だからこそ伝えられる事がある。
女の子たちの直面している理不尽さも、それぞれの背景がちゃんとあるんだってことも、
もちろんキャバ嬢だからこそ培われるスキルやステキな面も、全部伝えてゆかなくちゃ。
それが今のあたしにできるコト。

次にキャバ嬢を辞める時は寿退店!!
そう決めたのは収録の真っ只中、マツコさんの一言に打たれたその時だった。

キッカケ④:履歴書に「クラブ○○」と書ける社会を。

マツコ会議の収録とは前後するんだけど。

あたし、10年キャバ嬢やってきて、初めて殴られたの。

初対面のお客様にいつも通り接客していて……
あたしを殴ろうとしたわけじゃなかったみたいだけど、結果巻き込まれて殴られちゃったの。

まず何が起こったのか理解するのに時間が掛かった。
男の人に殴られるんだよ? DVでも何でもない、見ず知らずの男に。
もーびっくり! マジ動揺!

整形外科に行ったら、先生、落ち着いていてね。
「警察に出すことになるかもしれないけど」
なんて、手馴れた様子で診断書を書いてくれて。

夜の仕事で女の子が殴られるなんて、先生にとっては“あるある”事例だったみたい


店に診断書を持って行ったけれど、対応が二転三転。
労災が下りるだの下りないだの、傷害保険を申請するだの。

でね、そうして下りた保険金を店が一向に払ってくれなかったりして。


その店の母体になっている会社宛てに弁護士から内容証明を送ってもらったら、
さすがに慌てたみたいで……。
1ヶ月も経ってやっと保険金を受け取れたけど。


正直、保険金なんて大した額じゃなかったの。
あたしは保険金のために戦ったんじゃない。

あたしはあたしの両肩に、
過去にこの仕事に従事した女の子たちと
将来この仕事に従事する女の子たちを感じていた。


お医者さんにとっては“夜の仕事じゃあるある”な事件に遭いながら、
戦わずに泣き寝入りする女の子が、これまでどれだけいたんだろう。

あたしが戦わないことで、この先どれだけの女の子たちが泣き続けることになるのか。

そう考えた。


普通だったら傷害事件。警察の入ってくる事件だよね。
なのにあたしには殴ったお客の名前すら明かされなかった。
女の子はいつか辞めるけれど、お客はお店に通い続けるから……、
だからお店はお客を守るんだろうなって思った。

マーボー豆腐は飲み物です。
それならば、キャバクラ嬢は生き物です。
そして、オンナノコです。



あたしはね、
夜の仕事をしている女の子たちが当然の権利を行使して
堂々と生きられる社会が見たい。

もちろん生きて働いていたら嫌なコトもあるけれど、
夢や守るべき存在のために誇りを持って仕事をしているのなら
家も借りられ、カードも作れ、職歴を偽ることなく履歴書が書け、
殴られたり事件に巻き込まれたりしたらきちんと警察に介入してもらえる。

一個の人間として、社会人として、尊厳が尊重される。

そんな当たり前の社会が見たい。


そして、それは夜の仕事の女の子たちだけの話じゃないと思うんだ。
すべての女の子たちに、
女の子に生まれて好かった、女の子だからこんなコトができた、と言ってほしい。
大好きな人と過ごして、大好きな人の子どもを産んで……。

男と肩を並べるというのは、張り合って並べるんじゃない。
男と女にできるコトはそもそも違うのだから、
ともに人生を歩んでゆく、という意味で肩を並べてほしいな。



自分らしくステキに生きる女の子が増えるようにと「艶塾」を立ち上げたのも
キャバ嬢のキラキラした面だけじゃない実情を発信してゆくのも
それでも底力を発揮して生きてゆく女の子たちを応援するのも

全部ひとつなんです。
あたしは女の子に輝いてほしいんです。
女の子の力を信じているんです。


女手ひとつであたしを育ててくれたマミー。
夜の世界で働いて子どもを育てながら、水商売への偏見から自由になれなかったマミーにも……
履歴書に「クラブ○○」と書ける日本を見せてあげたい。
立派に生きた経歴なんだから……って。


そんな未来のために。

これが、あたしのKey Page……。

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掲載日:2017年06月02日(金)

鍵人No.0071

青木人生(あおき ひとせ)

静岡県出身。ナイトワークに従事したことで、様々な女性の人生や夢、おもいに触れ、同時に直面する理不尽や社会からの偏見を痛感。輝く女性を育てるための「艶塾」を設立、運営後、現在は現役キャバ嬢ながらナイトワークの女性のための不動産会社に勤め、その理解を深めるためのコラム記事を「きゃばちん」に執筆している。電子書籍なども今秋発売。

【きゃばちん公式サイト】
http://cabachin.com/

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