青木人生 Episode2:なにが「個を強くする大学」!? | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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その出会いから服飾の仕事を夢見て、専門学校進学を希望したあたし。
けれどもマミーはあたしに大学を出てほしいと言い出した。

反発もしたけれど、女ひとりで生きていくには日本だと学歴がないとな、とも考え直し、
ならばせめて過ごしたい場所で、と東京の大学を受験。

いくつか受験したなかで、なぜかビビビッと来た大学があった。
滑り止めの大学に行くくらいならとマミーを説得して浪人、
同級生の中でルームメイトになってくれる子を探して、東京の予備校に通ったの。

翌年あたしは希望の大学に合格、同時にアルバイトも始めた。
銀座の百貨店で憧れの服飾の仕事に就いたの。
実家に仕送りの増額を頼みたくないあたしは、
大学に行きながらも社員並みにシフトを組んでみた。
けれど、じきに限界も見えてきて……。

そんな時、誘われたんだよね。「銀座のキャバクラで働かない?」って。

あたしにとって夜の仕事は、マミーをあたしから取り上げてあたしを寂しくさせた仕事だったから
そんな仕事したくない……初めはそう思った。
だけど、生活を考えたら背に腹はかえられなかった。

最初のうちは本当に大変で、突然接客中に声が出なくなって!
今思えば心因性だったと思うんだけど。
マミーはこんな大変な思いをしてあたしを育ててくれたのか、なんて痛感して、
その度に泣きそうになっていた。

それでもなんだかんだ続けていった夜の仕事。
生活費を稼ぐために必要だったし、
この先マミーの面倒を見るかもって考えたら、お金はないと困るもの。

何度かお店を移りながら、だんだん評価されるようになって、
自分の中でも夜の仕事への偏見が薄らいできた。
本当にいろんな理由でキャバ嬢をやっている子がいる。
彼女たちの生きる姿勢に心を打たれたの。

夢のために、学費を払うために、親のために、子どもを育てるために……。
地方から来た子も半分以上だった。みんな一生懸命だった。

大学で専攻していたのがジェンダー論だったこともあって、卒業論文は
世間では軽蔑されているこの仕事、そして女の子たちにスポットライトを当てた内容にしたの。

そうしたら、その論文ね、

ほとんどの学生のそれが載せられる大学の卒業論文集から省かれたのよ。

扱っているものがキャバ嬢だからだろうって教授は言っていた。

「個を強くする大学」

そう謳ったその大学の校風に惹かれて、あたしは入学を決めたはずだったんだけどな……。
人に流されず、社会の言いなりにならず、
自分の頭で考え、心で感じて自分なりの答えを導き出してゆく。
そんな学生を育てる大学……ってあたしは思っていたから、なんだかこの時はショックだった。

ゼミの教授からOKももらって提出した論文が、主題ひとつでそういう扱いを受ける。
それは、大学の本音かもしれないけれど、社会の本音なのだろうな。あたしはそう思った。

そんな社会の本音とあたしは闘ってゆこう。
もともと旺盛だった反骨精神にますます火をつけた出来事だったんだ。

掲載日:2017年06月02日(金)

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株式会社クレスタ営業兼広報担当

青木人生(あおき ひとせ)

自分らしく輝く女性たちを輩出する「艶塾」に、ナイトワークの女性向けの不動産会社でのライター業務を手掛け、しかも、現役キャバ嬢。パワフルに活動する青木人生さんの尽きせぬ原動力とは……?

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