もともと落ち着きのなかった私。
牧師である親の受け持つ教会に併設する幼稚園に入園することになった。自分の親が、みんなに尊敬され、頼られるポジションにいる環境において、幼い私は何を感じ取ったのだろう、大変おしとやかでおとなしいキャラクターを演じるようになった。子ども心におこなうそれは無自覚で、いつしか私はその“おしとやかな私”を本来の私の特性と信じ、生活するようになった。
何かに目覚めたのは小学5年次のこと。
ひょんなきっかけから、英会話教室の英語劇クラスに入り、初めて舞台に立つことになった。緊張もするし台詞も棒読み、演技どころかただ立っているだけ……それなのに、私のたましいは大きく震えた。
ああ、これだ。この空間に存在することが、私のしあわせ。
本能的にそんな確信を持った。これが私の演劇人生の始まりだった。
掲載日:2018年11月28日(水)
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役者
鈴木夢(すずき ゆめ)
おしとやかだった女の子がたましいの求める生き方に気づき、殻を破ってがむしゃらに邁進してゆくストーリー。「おばあちゃん役者になった時が楽しみ」と笑う鈴木夢さんの笑顔と行動力の秘密は……?