大上達生 Episode3:「会社はいざとなったら自分のことをばっさりと切り捨てるのだなあ」 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

» 大上達生 Episode3:「会社はいざとなったら自分のことをばっさりと切り捨てるのだなあ」

それまでベンチャー企業ばかりで働いてきたので大手企業で働きたいと思い、
大手の外資系の企業に入社しました。
そこでは、本部の法務部に配属されました。
会社の契約書などの書類をチェックする部門でした。

いろいろな提案をしますが、上司がトップダウンの人で相性が悪く
私の提案が通ることはありませんでした。

そんな会社に私の居場所はありませんでした。

毎日、同じことを言われた通りにしかできない。
仕事がとてもつまらなくおもしろくないものになりました。
月曜日には、会社に行きたくないなあという気分になりました。
今までの仕事ではこんなことはなかったのに…。

そんなある日、営業担当のある人が私のもとにやってきて、
「この契約書を早急に通してくれ」と言いました。
その契約書では、これまでの条件を反故にして、
取引先に非常に有利な条件が記載されていました。
私は営業職をやっていたこともあり、普段は割と融通を利かす方だったのですが、
いくらお得意様でもさすがにこの条件はありえないと思って、

「ここの部分、交渉してもらえませんか」と言いました。

「そんなことやってられるか!営業の苦労が分かるのか!」
営業担当の人は、いきなり声を荒げました。

私は下手に出てお願いした分とても腹が立ち、大喧嘩をしてしまいました。

その夜、とても腹が立ち、居ても立っても居られなかったので、
僕は、その営業担当者にメールを出しました。
「今日の態度は何だったんだ。」

一週間後、そのメールのコピーを上司に見せられ、
「なんてことをしてくれたんだ」と酷く叱られました。

そのメールは、会社の中で大問題に発展したのです。

法務部は、コンプライアンスを司る部門です。
その部門の人間が仕事上に個人の感情を持ち込むなんて言語道断です。
僕は、怒りでそのことをすっかり忘れてしまっていたのでした。

会社の上司は、全面的に営業担当者の味方をしました。

結局、この事件では私だけ懲罰という処分を受ける形になりました。
会社の産業医の診察を受けて診断書をもらってこいとも言われました。

もちろん反省もしましたが、1つわかったことがありました。

「会社も上司も、自分達の都合に合わなくなったら、
自分のことをばっさりと切り捨てるのだなあ…」 

それまで僕は、会社は、自分のことを守ってくれるものだと思っていました。
会社をとても信頼していました。
けれど、会社は僕のことを守ったりはしないのです。

会社を辞めたい……どころではない。
もう、辞めよう。
いますぐにではないにせよ、辞めると決めよう。

フランス留学に挫折し、何かを成し遂げることもなく会社を次々と渡り歩き、大手企業に守られて……
しばらく見せることのなかった激しい「何か」が、確かに私の中に生まれました。

考えてみれば、フランス留学に失敗した…いや、失敗したと思い込んでから、
これ以上挑戦することを恐れ、何事にも腰が引けてしまう私がいた。

けれども、悔しくてならなかったあのメール事件が、
なんとなく挑戦を忘れていた私の人生に火をつけてくれたのでした。

会社にはもう頼れない。頼りたくない。
自分で自分を食わせるために、稼ぐ力を身につけよう。

そう決めてから、思いついたりご縁のあったりしたいろいろなことを試しました。
株、FX、アフェリエイト、情報商材…全部利益になりませんでした。
一晩で1ヶ月分の給与を持っていかれることもありました。

何度も失敗し、何度も挫折しかけた私の心を奮い立たせてくれたのが
ほかならぬあのメール事件でした。
独立のための孤独で地道な努力を支えてくれたのは、あの悔しさ、絶望感、見返してやりたい思いでした。

そんな思いが岩をも通じたのか……
私は安く仕入れて高く売るという転売、
「物販」に出会いました。
家にあった家電が、大手オークションサイトに出品してわずか3日で売れたのです。
これだ、と思いました。

もちろんその後うまく行かないことにも突き当たりましたが、
転売を教える塾に通ったり地道にトライ・アンド・エラーを繰り返したりして
その道を諦めませんでした。

手応えを感じ、独立したい気持ちを周りに漏らすと、
もちろん冷ややかな反応ばかり。
見返してやりたい思い、怒りのパワーも増し、
それがさらなる行動の起爆剤になりました。

今の人生を変えたい!
どうなるかわかんないけど挑戦してみよう!

2011年3月、私は会社を辞め、独立を果たしました。

掲載日:2017年08月18日(金)

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Webビジネスプロデューサー

大上達生(おおがみ たつお)

フランス留学での失敗から、なんでも「できない」と思っていた男が、起業して転売ビジネスに成功し、自分自身を取り戻していく道のりとは?

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