西村直子 Episode3:母子関係の呪縛からの卒業。海外ボランティアで目にしたもの | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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高校から、大学へ進学した。
アルバイトをしてお金を貯めて学費を稼いだ。
空いた時間は昼も夜も、すべてアルバイトに費やした。

稼いだお金は、生きたお金にしたかった。

「新しい自分になりたい!」
とやっと思えたのは19歳の頃。
本当の貧しさとは何かを知りたくて、仕事で貯めたお金で国際ボランティアに出た。

フィリピン・マニラへ渡り、スモーキーマウンテンに登ってボランティアをした。
マニラの竪穴式住居のような集落を訪れた時のこと。
そこはどぶ川の上に住んでいるような、貧しい地域だった。
集落を歩いていると、2歳くらいと6歳くらいの姉妹が、暑い中濁った泥水の中でキャッキャキャッキャと楽しそうに遊んでいる姿を見つけた。

私は、彼女たちをしばらく茫然と見つめたあと、急に胸が苦しくなった。
急いで木陰に隠れ、座り込む。
そして嗚咽するほど泣いた。

「『貧しさ』って一体何……?」

この環境で暮らしているこの子たちを、一体誰が不幸って決めるんだろう。
「こんなにかわいらしい子が、あどけない笑顔で精一杯生きている」

金銭的に裕福な国であるはずの日本に生まれた母は、お金の話しかしなかったのに。
「心は母のほうが貧しいんじゃないか」

自分が今まで母から言われたいろんな言葉が脳裏をよぎる。
「もしかしたら、親も間違えるということがあるのかもしれない……」

必死にしがみついていたもの、母との確執、恨み、お金への価値観、全て。
これまで築いてきたアイデンティティが、全て崩れてゆく音がした。

これが私の魂の生まれ変わった瞬間。
「これからは、私が見たものと、私が信じたものしか信じない」

そして『自分を育て直す』『自己肯定感を育む』という概念が出来た。

私はこれまで感じていた生き地獄から、人生を切り拓く決意をした。

掲載日:2017年08月25日(金)

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起業女性サポート

西村直子(にしむら なおこ)

生活苦から母が働きに出た――それがすべての始まりだった。 精神的に安定しない母、死ぬことよりも生きることの方が苦しかった学生時代。そんな私の悲しいidentityは、とある少女との出会いで崩壊した。

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