「そう言えば、ここにきてこんなにゆっくり星を見たのは初めてだったかもしれない。来てすぐは、小屋作りに必死で疲れてすぐに寝てしまっていたし、小屋ができてからは外で寝ることもなくなったし。」
いつしか私は、この星空に夢中になっていました。
木の葉をなでる風の音、虫のさえずり、川のせせらぎ、そしてこの壮大な星空。
自然が作り出す情景に例えようもないほど私は感動していました。
あまりにも素晴らしくて、自分自身がとてもちっぽけな存在にも思えました。
しかし同時に、そのちっぽけなもの一つ一つに“個”としての役割や個性があり、それら全てがあるからこそこの地球全体を形作っているものなのだと。
深く腑に落ちた気がしました。
私は全身で一つ一つの“個”の思いを感じながら、これまでの森での日々をゆっくりと時間をかけて振り返りました。
その中で特に“人の感情”への概念が大きく変わっていたことに気付きました。
辛い時に触れた優しさに涙して、火を起こせたことに飛び上がって喜んで、水を節約しない仲間に本気で怒って…普段は見過ごしてしまう些細な事が、この生活のなかであったからこそ、より深く私は心を打たれたのです。
石の形が一つ一つ違うように、葉の色が一枚一枚違うように、私は私という“個”であり、それを貫いて良いんだと。
そして人だけが“個”の中で唯一感情により変化し続けることが出来る生き物なのだと、私は改めて気付かされた気がしました。
そうして1ヶ月間のプログラムは、私に沢山のキッカケを与えて終了しました。
それ以降私は、自分の知らないことにより広く興味を持てるようになりました。
自分の考えが及ばないものを体感し、自分自身が変化していくことを楽しんでいました。
「自分が絶対に行かないと思っていた場所に行ってみよう。」
そして私はニューヨークに行くことにしました。
今までやったことがないことを沢山経験して、行ったことがない場所に沢山行きました。
その中でも、世界一美しいと言われるニューヨークの夜景を見て、私は以前に森で見たあの星空を思い出しました。
「あの時と同じくらい綺麗…」
人だけが未来を描くことができる。
この夜景も人が未来を描いたからこそ創ることが出来たものであり、それは自然に負けないくらい素晴らしいもの。
その時、やっと自分の“個”がわかりました。
自然が創った森の中の星空と、人が創ったニューヨークの夜景。
人も、自然も地球に住むという視点からみると同じだけの価値があり、同じ世界に生きている。
私達がみんな「地球のこども」であるように、すべての“個”を大切にする。
そんな活動がしたい。
私の生きる意味…
人だけが創る世界ではなく、自然だけが創る世界ではなく、どちらも素晴らしいものを創れる“個”だからこそ、共存してもっともっと素晴らしい世界を創れるはず。
そんな未来を描ける人に私はなりたい。
私が描いた世界を沢山の人に届けるために。
これが私のKeyPage…
掲載日:2018年11月27日(火)
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NPO法人Kids of Earth代表
中山理紗(なかやま りさ)
NPO法人Kids of Earthの代表として活動する中山理紗さん。自然と人が共存し、地球が笑顔になるために。そんな自身の在り方を見つけたのは、「地球の大自然」と「未来を描く人の力」に触れた時だった。