「お父さん?お母さん?家族?お友だち?それって一体何なのだろう?」
家に帰るとお父さんがいて、お母さんがいる。普通の人が当たり前に持っているそんな常識は、私にはありませんでした。
お父さんもお母さんも、仕事で忙しく家にほとんどいなくて、いつも両親の知人が私の親代わり。
いや、親という存在自体がよくわかっていませんでした。
幼稚園の時、先生に「お父さんを描いてみよう!」と言われ、私はいつも自分の周りにいる沢山の人の顔を描きました。
「お父さんは一人だよ!」と言われ、初めてお父さんは一人だということを知りました。
「お友達を描いてみよう!」と言われ、私は拾ってきた石や、捕まえた虫の絵を描きました。「お友達は人なんだよ!」と言われ、初めて友だちというのは人だけなんだということを知りました。
おかしな話ですが、それが私にとっての当たり前の世界でした。
小学生になり、はじめて親というものが何なのかを知り、大人という存在を認識しました。
そこから私はよく大人を観察するようになりました。
なぜか大人たちは皆疲れた顔をしていて、なんだかつまらなさそうで。
私はそれを見て「大人になんてなりたくないなぁ。」と漠然と思っていました。
掲載日:2018年11月27日(火)
このエピソードがいいと思ったら...
中山理紗のエピソード一覧
NPO法人Kids of Earth代表
中山理紗(なかやま りさ)
NPO法人Kids of Earthの代表として活動する中山理紗さん。自然と人が共存し、地球が笑顔になるために。そんな自身の在り方を見つけたのは、「地球の大自然」と「未来を描く人の力」に触れた時だった。