三島桂太 Episode2:その声は、誰の。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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あっちこっちで原因不明って言われ続けた頭痛だけど、神経内科ってとこに行って初めて言われた。
「群発頭痛ってやつですね。基本的には一生治らないです」

別名、“自殺頭痛”。
自殺したほうがマシなくらいの頭痛だから、“自殺頭痛”だ。文字どおり自殺者も多い。

24時間365日、殴られるような頭痛があるわけじゃない。
特定の季節の、一日のうちの数時間、痛みが襲ってくるんだ。

普通に生活できる時間もある。ただ、一度始まると地獄。
「次はいつ来るんだ」
「いまはいいけど、数分後はわかんない」
人も世界も信じられない僕だったけど、自分の体すら信じられなくなった。
警戒しながら、恐れながら、怒りながら生きる日々。

それはそうとして、人とのコミュニケーションがもう少しうまくなりたい。
人は信じられなくても、努力して生活が楽しくなるならそうしたい。
どんな環境でも楽しみを作り出してきた僕だもん。

滑舌は悪いし、声も小さいし。そうだ、声優の学校に行こう。
学費は出してもらえないから、新聞奨学生っていう形で大阪の演劇学校に進学した。

学校で学んだだけじゃ、コミュニケーション能力なんか高まらない。
一日2時間睡眠で新聞配達や集金、学校での勉強をしつつ、2年間で200人ナンパした。

彼女が欲しいとかエッチしたいとか、そんなのどうでもよくて。
その日その時間を全力で楽しむ初対面の相手を求めて、声を掛けまくった。
「絶対に連絡先聞かないから」って言うと、断られることもあるけど、案外付き合ってくれる女の子もいる。
美人も不美人もメンヘラもギャルも、選り好みしない。いろんな女の子と過ごした。

相手の反応を見ながら、知り合ったばかりの相手を楽しませるための引き出しを増やしていく。
克服したかったコミュニケーションの課題は、これである程度乗り越えられたかなと思う。

ただ、なんか、変な人を引き寄せることが多かった。
電車内やそのへんの道路でやたら難癖付けられたりするんだ。

専門学校卒業後、上京して、プロダクションに所属した。
タレントとして仕事したかったんだけど、「顔がいいんだから俳優をやれ」って大人の事情に押し切られて。

納得できなかったし乗り気じゃなかったけど、やるだけやってみた。
俳優だった父さんへの憧れもあったのかな。
「お前は俺に似てるから」「俺のようになれ」

そんななかで、舞台を観に来てくれた女の子と付き合い始めた。
僕に一目惚れしたらしい。そんなコトもあるんだな。

家族のことが大好きな女の子だ。気仙沼の実家に年に4回も5回も帰省する。意味不明。
「その交通費で、何回俺とデートできんだよ? 俺のこと好きなんだろ? 何考えてんだよ? 」
理解できなくて悪態をつく。彼女はケロっとして、
「でも家族が大切だから、帰るね」

東京でも変なコトがたくさん起きる。
電車内でいきなり殴られるとか、日常茶飯事。歌舞伎町でホスト数十人に追っ掛け回されたこともある。

何なんだろう。
人前で変な事なんかしないし、ナンパの成果で普通にコミュニケーション取れるようになったし。
僕に特別原因があるとも思えないのに。

なんでうまく行かないんだよ。
ファンが足りないから? お金がないから? 社長のせい? 彼女のせい? 生い立ちのせい?

23歳の3月11日。東京が揺れた。
そして、こっち以上に揺れた場所があったとすぐに知った。

彼女の実家は流された。お祖父ちゃん、お祖母ちゃんも亡くなった。
ご両親が無事だったのは不幸中の幸いか。

バイトと俳優業をして、足りない分は消費者金融から借りて生活する。
お金を下ろす感覚で借りていたら、いつの間にか借金が200万くらいに膨らんだ。

いろいろどん詰まりになって。
大家が来ても布団にこもってやり過ごしたり2階から逃げたりして、家賃を10ヶ月滞納した。

すると、住んでいたアパートが姉歯建築士の耐震偽装物件と判明。
「1週間後に取り壊します」
滞納のある僕にはもちろん補償なんかない。24歳にして僕はホームレスになった。

「今日は代々木公園に来て噴水とかバラとか見てまーす。リフレーッシュ! 」
役者としてのブログに写真付きの記事を上げると、「桂太くん、がんばってー」なんてコメントが付く。

代々木公園、寝床だからね。ツイッターなら「自宅なう」ですよ。

そんな俳優業もいろいろモメてやめた。そのトラブルがきっかけでうつ病も発症した。

家ないし、仕事なくなったし、自殺頭痛治らないし、うつまで持っちゃった。
何もかもうまく行かない。
何なんだ、この人生。どうしたらいいんだよ。

頭の上に果てしなく広がる代々木公園の空に尋ねた。
「なあ。俺、何がしたいの? 」

――体治したら?

空が、答えた気がした。

空なのか。
それとも、これは僕の……?

そっか。体、治そう。

掲載日:2018年11月15日(木)

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根本改善美容士、株式会社 HPP 代表取締役社長

三島桂太(みしま けいた)

自身のクリニックで“ゴールの伝えられる施術”をおこなう三島桂太さん。“エキセントリック”という言葉では表せないほど波瀾万丈な生い立ちの三島さんが、自身の怒りに気づき、生き方を覆したキッカケとは......?

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