琴羽夏海 Episode3:誰かに貢献できる自分だけの力を。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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単純だった私は転職するには特別な何かが必要だと思った。
そう、資格だ。資格雑誌を開いてピンと来たものを片っ端から受講したり体験受講したりし始めた。
本当に好きな事やしたい事を見つけるにも、経験してみなければわからない。
料理を学んだり、英会話を学んだり、知り合いのモデル経験から無謀にもタレントのオーディションを受けては落ちたりして。

そんななかに、占いを学ぶ講座の体験教室の案内があった。
体験教室だし……。恐る恐る向かった先は、吉祥寺にある薄暗い地下の部屋。
“魔道士”を名乗る50代ぐらいの黒づくめのおじさんが、そこで私を迎えてくれた。

「占いっていうのは、お客さんを自立させ、成長させるためのツールなんだよ」
お客さんの未来を決めつけたり恐怖心を煽ったりすることで依存させてリピートさせる占い師とは異なり、
お客さんの現在地、お客さん自身をともに見出し未来を作ってゆくことをサポートする占い師、そして占いの在り方。
そんな事を語ってくれるおじさんに自分の元来の自信のなさを話すと、

「占いは自由です。人を選びません。いい占い師になる方法を教えてあげましょう。
それは……占いを心から楽しむことです」

そこから、平日に病院で働き土日に占い教室に通う生活が始まった。
自信がなかったので職場でも占いのことは話さなかったし、しばらくは母にも土日の外出先を話さなかった。
女手ひとつで私たち姉弟を育ててきた母に、高校も中退したしいくつかの職場も長続きしなかった私は
「どうせ長続きしないんだから」と言われ慣れていたから、言う必要もないと思っていた。

1年間教室に通い、無事卒業。
そのころには友人たちには占いのことが話せるようになり、せっかくだからと無料で占いをするようになった。
すると、友人たちからの紹介がまた紹介を呼び、口コミとリピートで広がってゆくことに。
もらいものをしたり、カフェでお茶をご馳走になったりすることが増え、
なかには進んでお金を封筒に包んで持って来てくださる方もいた。

「とってもよかった」
「あれがなかったらいまでもきっと迷ってたよ」
「あれが人生の転機になったの。ありがとう」

そんな言葉が掛けてもらえるようになり、いつしか自信へと変わっていった。

ずっと、飛び抜けてこれが得意だと堂々と言えるものがなかった。
これであなたの力になれます、と言えるものがなかった。

漫画は、しょせんクラス内で描いてほめられる程度だった。
デザインの勉強もしたけれど、それで勝負できるほどの力は得られなかった。
何の才能も特技も、学歴さえもなかった。

ずっと探し続けてきた。必要としてもらえる感覚、自分自身の力で誰かに貢献できる何か。

きっとこれなんだ。
ようやくそう思えるようになったころ、気づけば私は30歳になっていた。

掲載日:2018年12月03日(月)

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ポジティブ・リーダー占い師

琴羽夏海(ことは なつみ)

自信を持つための占い、いまここから幸せに生きる占い。そんな占いを提供する琴羽夏海さんは昔、自信が持てず何事も長続きしないことを苦にしていたのでした。琴羽さんが現在のような活動を始めたきっかけとは?

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