小室友里 Episode4:命を育む潤った大地に。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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3年半ほどアダルト業界で働き、その後は舞台役者や歌手として活動したり、執筆活動をしたりした。
結婚生活も経験し、離婚の前後から“ラブヘルスカウンセラー”を名乗って相談、執筆、講演活動をしている。

AV女優なんてヤクザに売られてする仕事、人間のすることではない……と思われていた時代に、
逆指名があったとはいえみずからAV業界に飛び込んでいった私。幼少期に「お兄ちゃんが喜んでくれるから、苦しくてもがんばれる」という原体験を得ていたことで、誰かを喜ばせるために、多少人から蔑まれる仕事であっても自分ががんばる、という働き方につながったのだと思う。

いろいろな事を知った。喜んでもらえる事ももちろんあったし、あの業界にいなければ知らなかっただろう男性の生理もたくさん知った。遅咲きだったおかげでたくさん努力し、人を観察した。結婚と離婚を経たことも手伝い、男女の生理や考え方、コミュニケーションの違い、そしてその違いを超えて融合するセックスのすばらしさに確信を持った。

性への欲求という、人としてごく自然な欲求を持ちながら、自分のありのままの欲求を認めることができず苦しんでいる人がたくさんいる。「あなたの欲求も含めてあなた自身なのだから、あなたがそれを認め、自分をしあわせにしなきゃ」といろいろな場面で伝えているが、“元AV女優”という肩書きに過度に注目の集まってしまう現状の日本における活動には限界も感じている。

島国日本では海外で流行った日本のものが逆輸入されブレイクすることがあるので、“元AV女優”ではない軸を持って日本で広く活動するため、頂いたご縁を活かして現在は海外での活動の確立にも励んでいる。もともと性に対しておおらかだった日本という国にその性のすばらしさを思い出してもらいたい、性に、男女の違いに苦しむ人にその可能性を開いてもらいたい、と願って。

学生時代や若いころの承認欲求は、乾いた大地に水をいくら注いでも満たされない、終わりのない欲求だった気がする。評価されてうれしいのだけど、それを噛み締める間もなくもっと上に、もっと上に、という毎日だった。

いま、ラブヘルスカウンセラーとして様々な活動をすることで、凝り固まった性のイメージで自分自身を傷つけてきた女性たちが解放されてゆく実感がある。「こんな私でいいんだ」「こんな私のまま性に取り組めばいいんだ」と背中を押してあげられる感覚。これも承認欲求と言ってしまえばそうなのだけど、ここには純粋な喜び、果てしない喜びがある。その喜びがおのずと自分を「もっとがんばろう」と押し上げてくれる。乾いた大地ではなく、潤った大地が健全に雨水を吸い、草木や動物、たくさんの命を育んでゆく。

これまでに経験したすべてのプロセス、すべての出会いが、現在の仕事と、それをとおして得られる充実感、“健全な承認欲求”とでも呼ぶべきものを得るのに不可欠だった。名前も覚えていないお兄ちゃん、AVの話をくれた社長、離婚した元夫、私のところに相談に来てくれた悩みだらけの女性たちも。

………これが、私のKey Page。

掲載日:2017年06月23日(金)

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ラブヘルスカウンセラー

小室友里(こむろ ゆり)

AV女優として一世を風靡し、現在では男女の性やコミュニケーションについて執筆、講演活動をされる小室友里さん。語っていただいたその性の原体験は、意外なものでした……。

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