木島タロー Episode4:僕はまだ、走り出した夢の入り口に立っている | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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『命のコーラス』
今、僕の成し遂げたい夢は、日本人だからこそできるコーラス文化を作ること。

ゴスペルは一つの宗教の賛美歌だ。
しかし、その信仰心がすべての日本人に持てるわけではない。
宗教とは関係なく、ゴスペルの全身に響くその力強いサウンドに憧れている日本人は多い。

そういった日本人が歌うコーラスを『ゴスペル』というジャンルで呼ぶことはできない。
そういう純粋な音楽活動をゴスペルグループなどと呼ぶことは、実はクリスチャンたちに対してとても失礼なことなのだ。
それで日本のゴスペルは今矛盾と低迷に喘いでいる。

サウンドのクオリティ、精神性の違い、その言葉にかける全身全霊の力……。
僕の憧れていたゴスペルは、日本人にはできないのか。

そんな思いの中で生まれたこの音楽の新しい名前。

『パワーコーラス』

ちょっとシンプルすぎる名前かもしれないが、宗教活動とは一線を画し、日本人の歌いたいコーラスをここから始める。
ゴスペル「も」歌う、他のメッセージ「も」歌う。
もっと自由に、どんな人でも歌えるようにしたい。

僕が死んだあとに残したいのは、「みんなが歌う場所を持っている社会」。
コーラスは周波数の魔法で人をつなげる。
信仰や出自が違っても、一緒に歌えば、一つになれる。それこそ、もう借り物の夢じゃない、「僕のオリジナルの夢」だった。

歌う意義を探していた個性豊かな野良シンガーたちと、Dreamers Union Choir を結成した。
歌うたいの辛さを知る僕だからこそ運営できるチームだった。人生は皮肉に溢れてる。

試行錯誤の中、チームの10周年を迎えようとする2016年、アメリカの国際コンテスト、「ジョン・レノン・ソングライティング・コンテスト」で、
僕の書いたパワーコーラスナンバー「United Dreamers」が、ファイナリスト(部門準優勝)に選出された。

「よし、世界に通じる。」

誰かから借りていた「シンガーソングライター」の夢は、僕のオリジナルの夢である「命のコーラス」と結びつくことで、今、現実になっていた。

目の前に、思いもしなかった景色が広がり始めた。
日本のゴスペルブームを作ってきた、噂でしか知らなかった人々が会議室に集まり、「パワーコーラスでいきましょう」と机を叩いた。
北は宮城から西は兵庫まで、すでに12チームものパワーコーラスグループが生まれていた。
もう、独りじゃなかった。

ゴスペルの凄惨な歴史が培った、趣味でも娯楽でもなく、
生き抜くために歌う「命のコーラス」のスタイル。それは、僕の人生も救ってくれた。
このスタイルを、この国ですべての人が歌える歌にする。
それが、パワーコーラス。きっとその言葉を誰もが知ることになる。
これが僕の「オリジナルの夢」だ。

他の誰かになろうとしていた日々。
その果てには絶望があって、落ちた穴から見上げた空には、ずっとそこにいた自分を見つけた。

これが僕が僕自身の夢を手にしたkeypage……。

掲載日:2017年10月27日(金)

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Power Chorus 協会共同代表
在日米軍契約ゴスペルミュージシャン

木島タロー(きじま たろー)

「なぜ僕の音楽を聴こうとしない……?」シンガソングライターの夢が砕かれ、絶望の淵に立った男が、『Power Chorus』という新しい音楽ジャンルを切り開いたキッカケとは?

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