池田レゴ Episode4:キッカケは妻の一言。新たなるビジョンへ。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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無職になってしまった。
少しの間は貯金で食いつなぐことができるかもしれない。でもそれも減っていく一方だ。

「僕は演劇がしたい。でもどうやったら演劇で食べていけるんだろう…」

頭を抱える僕に妻が言った。

「あなたのやってきたことを教えてみたら?」

「え?僕のやってきたこと?」

「だってあなたは演劇を使って営業成績も上げることができたし、会社に事業部まで作らせたんでしょう?」

それは…面白い。それに演劇の可能性を伝えていく仕事は僕にはうってつけな気がした。

「演劇には凄い可能性があることを人に伝えて行きたいんだ!」

僕は昔馴染みを辿って、一緒に芝居を作っていた女友達に相談することにしてみた。
フットワークの軽い彼女は、待ってましたと言わんばかりの顔をしていた。「面白そうだね!じゃあ来週の土曜日空いてる?場所押さえてワークショップやろう!一人5000円でどう?」

彼女はあっという間に4人の受講生を集めてくれた。
まだやりたい気持ちだけで形にもなっていないのに、本番の日は迫ってくる。舞台をやっていたあの日の感覚が戻ってくる。本番ギリギリまで少しでも表現をブラッシュアップしようとしていたあの日の感覚。公演が決まったら降りることはできない。幕が上がったらもうやりきるしかないんだ。初めての社会人向け演劇活用法ワークショップ。

ワークショップが終わった後は、汗が絞れるくらい服が濡れていた。

反省会の席で彼女は、珈琲を片手に僕に言った。

「実際一回は受けてみようと思っていたんだ」と。

「もし面白くなかったり実用性がなかったら『やめたほうがいい』ってはっきり言おうと思ってたんだよ」と。

「でも、これ面白いよ!うん、いけると思う!一緒にやろうよ!」

IKEDA REGO GARAGEという屋号をつけた演劇ワークショップの個人事業主になった。
REGOはラテン語で演出、レゴはデンマーク語で「よく遊べ」の略称だ。小さなガレージから世界に羽ばたいたスティーブ・ジョブスにあやかって、演劇の新しい可能性が生まれる場所としてレゴガレージと名付けた。

そして、彼女とは週1ペースで打ち合わせをした。
知名度を上げるのが最優先だ。その為にはコンテストに出たほうがいい。彼女は僕に社会人大学の講義コンテストの情報を持ってきた。出ない選択肢?そんなものあるわけがない。

「最も面白そうな講義」として優勝を勝ち取り、異例の速度で講座を開設。

それが縁となり、デザイン御三家といわれる有名な桑沢デザイン研究所からゲスト講師のオファーを頂き、スピーチの舞台としては最高峰のひとつであるTEDxへの登壇もすることができた。市民文学館や学童教育の依頼、知名度が上がっていけば少しずつ依頼も増えていく・・・演劇の活用法を伝えていけばいくほど、舞台がやりたい、もっと演劇への恩返しがしたいという思いが日に日に高まっていった。

2015年7月。これが僕の人生最後と決めた劇団を旗揚げすることにした。
劇団ClownCrown。役者と社会人の架け橋であり第三のセーフティネットになれる新しい劇団の形を必死で考えた。夢を持った人たちが搾取されていくような業界や社会の状況に風穴を開けられる形を。劇団員―仲間たち―がもっともっと自由に、もっともっと自分のしたいことができるようなそんな団体を作ろう!一人で出来ないことも仲間がいれば必ずできる。僕自身が仲間のおかげでここまで来れたのだから。そしてもっと演劇の面白さ、演劇活用の実用性をを社会に伝えていくんだ。演劇の可能性はまだまだ日本では知られていない。僕は演劇に救われた。これからは演劇に恩返しをしていくんだ!

ここから約1年半で3人で始まった劇団は、25人(役者志望3割で社会人7割)まで膨れあがることになる。
そして今なお増え続けているのだけれど、それはまた別のお話。

これが、演劇に救われた僕のKey Page…

掲載日:2017年02月17日(金)

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演劇・ゲーム専門家

池田レゴ(いけだ れご)

コミュニケーションの質を改善する人材育成レッスン「演劇活用法」を普及している池田練悟さん。演劇の未来と役者の為に今の劇団を立ち上げるキッカケとなった自身の経験とは…!?

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