儀間太久実 Episode1:兄の口から笛の音?!衝撃からのどハマりで禁断症状時代 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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僕の家は5人家族。両親と、兄が二人いて、僕は男三人兄弟の末っ子。兄弟の中では一番弱かった。
上二人がすごく強くてケンカもよくしていたけど、僕は絶対に敵わないので、機嫌を損ねないように二人の言う事をひたすらきいて、いつもビクビクしていた。

小学校3年生くらいの時だったか、一番上の兄が何の気なしに口笛を吹いてるのを聞いた。
僕はその時まで、口笛の存在を知らなかった。初めて口から出る笛の音を聞いて、ものすごく驚いたのを憶えている。
笛といったら、リコーダーとかフルートとか、楽器から出る物だと思っていた僕は、それが人間の口から出ているということに衝撃を受けた。
めちゃめちゃカッコイイなと、強く思った。

それから口笛を練習して、3日くらいでできるようになったけれど、最初は自分の口から笛の音が出ること自体がもう感動だった。
吹いてると上手くなって、上手くなると色々な曲も吹けるようになる。
学校で習った曲をすぐに口笛で吹いたりして、そうするともっと上手くなって、楽しさがどんどん増していくのがわかった。
楽しいから吹く、吹くから上手くなる、また楽しくなる… そんなサイクルに、気づいたらハマり込んでいた。
そうなってくると、もう“楽しい”という領域は通り越えてしまう。
最初は、自分にとって口笛は、ゲームみたいなものだった。

それがだんだんと変わってきたのは、小学校の4、5年生くらい。
今度は、口笛を吹いていないとツライというか、ストレスが溜まるようになっている事に気付いた。
口笛を始めて1年経ったくらいの頃で、まるで、ヘビースモーカーが禁煙したことで激しく禁断症状を起こすかのようだった。
授業中は口笛を吹いたらダメ、というのはわかっているけれど、あの45分くらいがとにかく苦痛だった。
口笛が吹けないことがツラくてしかたなくて、チャイムが鳴ると同時に吹き始める毎日だった。
口笛一色と言っても良いくらいで、家族にも「うるさい!」と怒られてばっかりだったけれど、やめられなかった。

掲載日:2018年11月28日(水)

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口笛奏者

儀間太久実(ぎま たくみ)

口笛に対する気持ちがわからなくなってもがき苦しんでも、自分の中に湧きあがる想いとその光を信じて、自分自身で答えを出してきた儀間太久実さん。強い信念で進み続ける、若き口笛奏者の生き様にみた、プロとしての葛藤と覚悟とは。

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