葦原海 Episode4:「障害者」と「健常者」の壁を壊す――私だからできること | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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ずっと目指していたテレビ業界に入れた。でも、入社してからまだ2年目、私はここにいることに疑問を感じ始めている。

部署が変わって、新しい上司からファッションを咎められるようになった。成人式が終わってから、私の髪はショッキングピンク。それを上司に注意される。最初はてきとうにごまかしてたけど、しばらくするとまた私のところにやってきて、髪の色をどうにかしろという。仕事はちゃんとしてるし、そもそもポストプロダクションだから人と会うことも少ない。それなのに容姿に口を出されるのが納得いかない。

今やりたいことができないのがすごく窮屈に感じる。こんな環境にいるべきなのかな?

10年後を考えたとき、今やりたいことを我慢しつづけてまでここにいるのは違うような気がしてきた。

私がこの会社にいる理由はなんなんだろう?

自分に問いただしてみたら、「この会社に入った理由」と「今、会社にいる理由」が変わっていることに気づいた。

テレビ局に勤めることに憧れてこの会社に入った。けれどいま会社で働いてるのは、モデル業だけじゃまだ生活していけない、会社員でいれば金銭的な安定があるから。ただそれだけ。

今の仕事にそれ以外の価値を見出せない。

フリーランスで同じ想いをもった人たちと一緒に仕事をする方が、私には合ってる。

私は憧れだったテレビ局を退社。今の私がやりたいことをやるために、モデル業に専念することにした。

私には目標ができた。 モデル活動を通して、障害があったって夢を諦めなくていいってことを伝えたい。

障害をもつ人には、障害を理由に選択肢として考えることもできないことがたくさんあると思う。そんな人たちの可能性の幅を広げたい。新しい在り方や価値を創造したい。

そして、「障害者」と「健常者」の壁を壊したい。

バリアフリーっていうと話題になるのは、段差とか設備といった「ハード」のことばかり。でも、障害者それぞれの「ハート(心)」を見てもらえるようにしたい。障害者といわれる人たちも、個々人によって思っていることや求めていることは違う。障害者と健常者の間にある壁や、余計な固定観念。モデル活動を通して、それを壊そう。

そのために全力を尽くそうと決めた。

掲載日:2020年03月19日(木)

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モデル・タレント

葦原海(あしはら みゅう)

事故で脚を失い、車いす生活を余儀なくされた葦原さん。それでも、彼女は自分の夢を諦めることはありませんでした。

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