三島桂太 Episode4:自分軸の人生を。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

» 三島桂太 Episode4:自分軸の人生を。

そんなある日。バイトしてきた整体で、社外研修なるものを受けることになった。
所長の知り合いの、脳科学の先生の研修だ。カウンセラーでもあるとか。

心の仕組み、脳の仕組みを、専門家の観点から……でもわかりやすく説明してくれる。
理論の勉強のあとは実践編、ワークだ。
30人くらい受講していたなかで、なぜか僕が名前を呼ばれてこう言われた。

「お金って楽々儲けることができる。もっと簡単にしあわせになることができる。
……このふたつだけ言ってみてください」

“言ってみてください”だから、普通言えるよね。言うだけだもん。
だけど、僕の口から飛び出たのはそんな言葉じゃなかった。
「お金ってさ、楽々儲けるもんじゃねえだろ。しあわせってさ、簡単に手に入ってもおもしろくねえじゃん! 」

なるほど、って先生は頷いて。
「じゃ、10段階で考えて。
10が「言いたくない」、ゼロが「その言葉が楽しくワクワク言える」だとしたら、いま数値どのくらいかな? 」
「じゅーご!! 」

先生は言った。
「10は「言いたくない」……そうだな、「ちょっと、無理です言えないです……」みたいな感じ。
でもそこに余計な5が加わってる。
その5はね、“言えない”とか“抵抗感”とかに“怒り”がくっついてる状態なんだよ」

戦慄が走った。これが………これが、僕の人生のからくりだったのか。
抵抗感に、さらに怒りなんてやつが加わって、僕はみずから物事を複雑にしていたんだ。

「世の中、みんな同じようにチャンスが来てるんだ。
楽々儲けるって、なにも人を騙すとか悪い事をするってコトじゃない。
純粋に、稼ぐのに苦労する方法と、楽な方法がある。その楽な方法が三島くんの目の前にも来る。
でも君には抵抗感以上に自分や世の中に対する怒りがある。
だから、これまでそういうのをピシャッとはねつけてきたんじゃないかな? 」

確かに、人並み以上の才能や情熱があるわけでもないのに役者なんて仕事を選んだ僕。
冷静に考えると、“楽に稼げない仕事”をあえて選んできたとしか思えない。
「しあわせの難易度を上げてきたのは、三島くん自身なんだよ」

大阪でも東京でも、街中で見ず知らずの人に理不尽なほど絡まれてきた。コミュニケーション能力はついたはずなのに。
それもこれも、僕のなかの怒りが引き起こしていたのか。

「どうせ、何かを願ったって叶わないんだ」
「父さんにも母さんにも見捨てられた俺なんだ」
「うまく行かないのは世間のせい、親のせい」
そんな怒りがあるから、応援してくれる人も離れていく。
人の縁もお金の縁も、僕が原因でうまく巡らなかったんだ。

って考えると、そんななかでも僕を信じ続けてくれる妻と出逢えたのは、とんでもない幸運だった……。

とはいえ、現状「楽々お金を……」って言おうとすると、言えないわけで。

言おうとするその時、体のなかで反応する箇所があるらしい。強ばったりして、普段と違った反応を示すんだ。
僕の場合は喉のまわりかな? 肩かな? 自分で探っていく。
その力んだ箇所を、手で触る。
そして、力みをつかんで体外に捨てるようなイメージで、体を動かす。
その反応がなくなって自然な状態になるまで、何度も何度も繰り返すんだ、って教わった。

モノの3分で、僕は「お金って楽々儲けられる! 」「もっと簡単にしあわせになれるね! 」って連呼していた。
心が軽い。言葉だけじゃなくて、本当にワクワクする。数値が、15からゼロになったんだ。
「やべえ。これ、マジやべえよ!!! 」

帰宅した僕は妻に言った。
「あのね、むっちゃん。俺、もうだいじょうぶだよ。
……ありがとう。ホントにありがとう。これから安心して、楽しみにしててね」

妻はニッコリ微笑んだ。
「いいねー。そっかあ、いいねー! よかったねー! 」

やっぱり、この人はバケモンだ。とんでもない器で、愛で、僕を包み込んでくれる。

長年の癖があるから、一度ゼロになった抵抗感や怒りもちょっと気を抜くとまた湧いてくる。
でも、毎日の通勤時間にワークで力みを抜くルーティンを設けたから、じきに怒りも抵抗感もない状態がデフォルトに。

湧いてきたアイディアややって来たご縁に素直に従ってお金を使うと、長年減らなかった借金は3ヶ月で完済できた。
ハワイへの新婚旅行から戻ってくると、所長とオーナーの不倫だか横領だかで会社がなくなって、給料2ヶ月分未払いに!
そんな事態でもバケモンの妻は微笑んで、
「あなたの器がおっきくなったから、合わない人や環境が去ってくれたんだよ。けいちゃんが独り立ちするためのプレゼントだね」

彼女の言葉と信頼を支えに、ホームレス時代に確立した理論を“根本改善美容”として、僕は会社を設立、クリニックを開業した。
母さんや父さんへのこんがらがった感情も紐解いていった。
亡くなる少し前に父さんに会って、家族が出来たって伝えることもできたんだよ。

もちろん、経営でも人生でも、新しく挑戦するうえで困難や問題は生まれるんだけど。
怒りじゃなくて自分や世界への信頼を土台に、冷静に解決策を探り、人を大切にして誠実に生きていく。
そうすれば、クリアできない問題なんか起きないんだ。

起こる出来事を外側の何かのせいにしていたのは過去の僕。
「これは何のチャンスだろう? 」「何に気づくための問題かな? 」って自分に問うのが、いまのデフォルトだ。

そして、何でもやってみるコト。
なんだかんだ、行動しなきゃ人生は変わらない。

あの研修を受けた30人のうち、ワークを続けたのは僕だけだったんだよね。
会社がなくなった時、残りの社員のほとんどは、2ヶ月分の給料50万を取り返すために300万掛けて3年裁判で争うことを選んだ。
もちろん、そういう生き方もアリ。怒りに駆られると冷静になれないよね。僕も昔ならそうしていたかもしれない。
だけど、僕はあの時あのワークを真剣に自分のものとして受け止めて、行動した。それが岐路だったかなと思う。

父さん譲りなのかな、なかなかエキセントリックな僕の人生です。
まだ何も成し遂げちゃいないんだけどね。

「行動することが大事」「困難は課題に気づくためのメッセージ」みたいな、どんな人にも当てはまるエッセンスもあるとは思うけど。
どっちかっていうと、僕の物語を読んで学びを得るより「こんな人生あるのか」ってびっくりしちゃう人のほうが多いかもしれないね。
それはそれでイイと思っていて。

あなたの人生に何か起こった時、「三島の波瀾万丈と比べたらマシかも! 」なんて踏み台にしてもらってもイイ。
映画か小説と同じ、ヤな事を忘れるエンタメとして、笑って読んでもらってもイイ。
僕の生きてきた軌跡が、何かしらあなたの人生の助けになればうれしいな。

何が本当に伝わるのか、僕自身わかんないけど。これが、僕の人生の KeyPage です。

掲載日:2018年11月15日(木)

このエピソードがいいと思ったら...

この記事をお気に入りに登録

根本改善美容士、株式会社 HPP 代表取締役社長

三島桂太(みしま けいた)

自身のクリニックで“ゴールの伝えられる施術”をおこなう三島桂太さん。“エキセントリック”という言葉では表せないほど波瀾万丈な生い立ちの三島さんが、自身の怒りに気づき、生き方を覆したキッカケとは......?

エピソード特集