黒須真里奈 Episode3:ふとしたキッカケで気づいた価値観 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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ある日、電車の中で、持ち運びサイズの女性向けキャリア雑誌を読んでいた。
その時はグローバル企業で働く女性たちの英語学習法が特集されていて、10人くらいの「キャリアウーマン」の記事が掲載されていた。
帰国子女の先輩達に囲まれて英語コンプレックスを抱えていた私は、自分なりに工夫して英語を勉強して、会社でも「デキる女性」なその人たちを、目を輝かせながら見ていた。
「自分もこんな風になろう…!」と思い、とてもウキウキした気持ちだった。

すると、彼氏が横から覗き込んで、こう言った。
「なんかこの人たち、みんなどぎつそう…。」

私は、はっとした。
自分が憧れていて、カッコイイと思っていたものが、そんな風に映っていたなんて。
けれど、彼氏との間にあった目に見えないギスギス感はこれだったのかと納得できた。

確かに、今の私は「どぎつい」。
自分のキャリアのことばかり考えていて、自分は優秀なんだと必死に自分に言い聞かせていて。
難しい営業や交渉をこなせるようになろうと、男性的になろうとして。
自分や他人のことを、とにかく上だ下だと比較して評価して。
朝は電話会議だからと早めに家を出て、夜に仕事を家に持ち帰ってきたこともあって。
結婚を考えている彼氏とはバランスが取れなくなってきて。

「これは、私が望んでいるものじゃない。」
私の中で、信念とか曲がったプライドとか脆い自尊心だとか、いろいろなものが混ざり合って出来ていた壁のようなものが、ガラガラと音を立てて崩れた感じがした。

そんな時、友人に誘われて参加したカフェ会で、自分の夢を発表する機会があった。
ワークシートとにらめっこしていたら、ふっと「ゆるっと主婦」という言葉が降りてきた。

「私は、「ゆるく」なりたいんだね、幸せな結婚生活を送りたいんだね。」
自分の中から出てきた言葉に驚いて、でもそれはしっくりくる言葉だった。

別の友人とグループセッションをしていて、その「ゆるっと主婦」という価値観はより明確になった。
私は女子校で、女性の嫌な面を見てしまったから、「女性らしさ」を今まで否定してきたんだ。
けれど、何もバリバリの上昇志向の高いキャリアウーマンじゃなくても、明るくて気さくでしなやかで、それでいてふんわりとした雰囲気の女性でいることも、ジメジメで陰湿な女性の反対になるんだな、と気づいた。

掲載日:2016年10月10日(月)

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黒須 真里奈(くろす まりな)

「優等生」であることを常に意識していた黒須 真里奈さん。 その価値観が本来の自分ではなく、偽りであることに気付き向かうべき方向性に気づいたキッカケとは?

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