関真志 Episode1:夢なんて…非行にはしる少年時代 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

» 関真志 Episode1:夢なんて…非行にはしる少年時代

僕が幼い頃、両親は夢を追いかけてコンビニエンスストアの経営をしていました。
毎日仕事が忙しく家族が揃うことはほとんどありませんでした。
幼い僕の唯一の望みは、ただ一緒に家族でご飯を食べること。
何気ない当たり前な毎日を望む、そんな寂しい子供時代を過ごしました。

それでも僕は、子供の為に働く両親を安心させるために一生懸命にスポーツや勉強を頑張りました。
親のためとはいえ、勉強もスポーツも、沢山のことを頑張っていた僕は周りに「まさし君って本当に凄いね!」と、もてはやされていました。

小学校3年生の時、突然転校生がやってきました。名前は「タカシ(仮名)」

ある日、タカシは僕にこう言いました。

「なぁ、お前って、なんでそんなに無理してるの?なんでそんなに頑張るの?」

親を安心させるために頑張っていることを見抜いた唯一の人でした。だからこそ彼とは気が合い、良き理解者として行動を共にするようになりました。

親のこと、受験の失敗、恋愛のショックなど、思春期らしい悩みを沢山経験し、高校生にあがった頃には、「もう誰かの為に頑張ることをしたくない。」と思うようになりました。

頑張らない自分。僕は高校を中退し非行にはしりました。沢山良くないことをやりました。
その生活はとても新鮮でしたが、代わりにこれまでの仲間がどんどん離れていきました。しかし、タカシだけは変わらずに僕の隣にいて、いつも優しく微笑んでくれました。

タカシが泊まりに来たある日、彼はこんな事を言いました。

「俺さ、夢があるんだ。農業の王様になりたい!日本の食料問題を解決したいんだ!!」

ワクワク未来への希望に満ちた表情で、将来の事を語ってくれました。

夢や、目標を語る人が大嫌いだった…前向きな人が大嫌いだった。
僕自身にそれがなかったからです。

「俺の前で夢とか語るのやめろよ!俺は人生に希望なんてないんだよ!」

そう吐き捨てる僕を見て、それでもタカシはいつもと変わらず優しく微笑むだけでした。

なぜかその姿を見て、僕は…タカシといると自分の暗い人生に少しずつ明かりが灯るような、そんな感覚になりました。

「自分に夢はないけれど、こいつの人生をずっと見ていたいな…」そんな思いにかられていきました。

掲載日:2017年06月16日(金)

このエピソードがいいと思ったら...

この記事をお気に入りに登録

株式会社BeCome
代表取締役

関真志(せき まさし)

株式会社BeComeで、営業代行事業や人材教育などを行う関真志さん。地元で非行を繰り返していた彼を変えたのは、自分とは正反対の思いを持つ親友の突然の死の知らせだった。

エピソード特集