前田悠衣 Episode2:花と出会った悲しいキッカケ | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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大学三年生になったある日。海外旅行から帰ってくると、すぐに家族から連絡が入った。
「おじいちゃんが体調悪いの…」
私はいやな予感しかしなかった。
「それでね。もう長くはないかもしれないって。もって半年くらいって。」
電話の向こうの家族の声がだんだん遠ざかっていった。頭を鈍器で殴られたようだった。
私の大好きなおじいちゃん。

おじいちゃんの働く姿、かっこよくて憧れていた。
たくさん旅行にも行ったよね。
いつもどんな時もありのままの私を応援してくれたよね。
そんなのいやだ。死んじゃいやだよ…。

私は、それから毎日おじいちゃんのいる病院へ通うことにした。
「おじいちゃん!大丈夫だよ。きっとよくなるから、また旅行行こうね。次はどこへ行く?」
一生懸命励まして、おじいちゃんに元気になってもらうんだ。

私は咳喘息になった。
おじいちゃんには風邪だってごまかしていたけど、苦しくて電車にも乗れない。でもおじいちゃんのためならどこへだって行けた。

ある日、行きつけの美容院に行くと、いつもの美容師さんが鏡越しに深刻そうな目でこちらを見ている。
「どうしたんですか?」と聞くと、
「ゆいちゃん。頭…脱毛しちゃってる。大きめのハゲが出来てるよ。大丈夫?」
そういえば。最近やたらと髪の毛が抜けるなぁと思っていた。まさかハゲが出来ていたなんて。

おじいちゃんの余命があと半年と聞いた時から、私の体は徐々におかしくなっていたんだ。

それからしばらくして、おじいちゃんが亡くなった。

私は心に空いた大きな穴を埋められず、毎日泣いていた。
頭のハゲもどんどん大きくなるばかり。
見かねて親戚が病院を紹介してくれたけど、悪性円形脱毛症と診断され、ホルモン注射を打たれてされるがまま何とか生きていた。

そんなある日、私を心配した親戚のおばさんが声をかけてくれた。
「私、プリザーブドフラワーの教室をやっているから、よかったらやってみない?」
これといった趣味はなかった私は、おばさんの教室に行ってみることにした。

これが私と花の出会い。

花を扱う時間はとても楽しかった。
無心で花に夢中になれる時間は、私の心を少しずつ癒してくれていた。

それから、生花(せいか)にも興味が湧いて、生きている花を使ったフラワーアレンジメントの教室にも通った。
プリザーブドフラワーとは勝手が違って難しかったけど、花のこともとても勉強になり、花を扱う仕事がいつか出来たらなぁ、と考えるようになった。

皆で何かを作りあげる、喜んでもらえる仕事は何だろう。
就活の時期をむかえた私は、ブライダルの仕事を志すことに決めた。

掲載日:2017年04月13日(木)

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ライフカラースタイリスト

前田悠衣(まえだ ゆい)

「おじいちゃん、今、私は一番輝いてるよ」。周りの意見を気にしてばかりだった。そして訪れた、大好きな人の死。それを乗り越えて、ライフカラースタイリストとして彩り豊かな人生を歩みだしたキッカケとは。

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