飯田崇秀 Episode3:大切な恩師の死「これからは自分で道を切り開くんだ」 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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なんとか実習を終えた。国家試験をパスして卒業すればいよいよ僕も理学療法士だ。色々片付いたら先生のところに挨拶に行こう。僕が理学療法士になったって聞いたら、喜んでくれるかな。

「もしもし?……え」

不意に母さんから電話が来た。

菊池先生が亡くなった。

2ヶ月前に倒れて入院していたらしい。実習中で疲弊している僕のことを気遣って、母さんはそのことを伏せていたのだ。

僕を救ってくれた人、僕の目標だった人がいなくなってしまった。

棺の中の先生は、とても穏やかな顔をしていた。先生を慕う人々が周りで悲しんでいる。涙をぼろぼろと流して泣いている人もいる。

悲しくてしかたないのに、不思議と穏やかな気持ちがする。

これで、役目が終わったんだな。きっと先生は、たくさんの人を救ってきたんだろう。ようやくその勤めを終えたんだ。

ありがとう、先生。ゆっくり休んでください。

親友と話していたとき、ふと背中に誰かの気配を感じた。

「先生……?」

振り返っても誰もいない。

先生が、僕の肩に手をおいて微笑んでる気がしたんだ。

理屈じゃなく、僕は直感した。きれいな水が身体の中を染み渡っていくような、静やかな気持ちが僕の中を満たしていく。

「これからは自分で道を開いていくんだ」

10月11日。僕の23歳の誕生日だった。

掲載日:2019年11月29日(金)

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S-PACE (エスペース)代表

飯田崇秀(いいた たかひで)

整体やカウンセリングを通じて心と体の両面からアプローチする「スピリチュアルセラピスト」の飯田崇秀さん。重い病気や他人とうまく繋がれないことに悩んでいた彼は、たくさんの貴重な出会いによって変わったのでした。

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