しかしその年の暮れ、私は突然彼から別れを告げられることになりました。理由はわかりません。
私の何がいけなかったんだろう。あんなに楽しく過ごしていたのに、なぜ突然?
気持ちが晴れることがないまま一ヶ月が過ぎた頃、私はある異変に気付きました。
「生理がこない…」
心臓が一気に高鳴り、私は急いで妊娠検査薬を買いに行きました。
「ウソ…」
結果は陽性反応。
事実を確かめるため、私は別れた彼に事情を説明し、病院に付き添ってもらうことになりました。
「おめでとうございます!」
医師からのその言葉を聞いて、私は頭が真っ白になり何も考えられなくなりました。
隣に座っている彼は大声で泣き出しました。
彼もきっと事実を受け入れられなかったんだと思います。
「…おろして…くれないか?」
彼は19歳の大学生。
なんとなくそう言われることは分かっていたけれど、聞きたくなかった。
私だって、どうしていいかなんて分からない。
でもまだ私は彼が大好きだ。「この子を産んであげたい…」素直にそう思った。
でも今、この子を産んでも幸せにできる自信なんてなかった。
そんな気持ちを察したのか、彼は優しく。
「ごめん。。病院には毎回一緒に通う。お金もなんとかするから。ごめんな…こんな事になってしまって、本当にごめん。。」
私は少し救われました。1人で抱えなくても良いんだ。そして、彼との繋がりもまた戻ってきた。
「やっぱり、できることなら産んであげたいな…」
彼と私の思いに決着がつかないまま、次の受診日が近づいてきました。
『次の受診、来れるかな?』
彼からの返信がないまま受診日がやってきた。きっと忙しかったんだ。
『順調だったみたい。次の受診日は来れるかな?』
掲載日:2016年10月01日(土)
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