大学を卒業してからも続けていたダンスの仕事、最初はアルバイトをしながらの生活だったけど、いつしかダンスでアルバイトと同じくらい稼げるようになっていた。でも、自分のやりたいイメージと何かが違う…。28歳になったある日、私はダンスから離れることを決意した。
それからダンス関係の先輩がやっている飲食店で、仕事をさせてもらった。ホールもキッチンも、一から教えられて我慢しながらこなしていた。
そんな中、心の中では、「いつか必ずダンスで食べていけるようになりたい」と、ずっと考えている自分がいた。しかし、「ダンスはもう止めたんでしょ?これからはお店の仕事を頑張りなさい」と言われ続けた。本当の気持ちとは裏腹に。私は言われる度、歯を食いしばっていた。言葉を飲み込み、自分の思いを表現出来ずにいた。そして半年たったある日、私の中で何かがはじけた。
「やっぱりダンスで仕事がしたい!」
私は我慢できなくなって、先輩に「私を踊らせて!」と言ってしまっていた。
そこから、またがむしゃらにダンスのオーディションやショーパブの試験などを受けまくった。無料で研修をやっているダンスインストラクターの派遣事務所の研修を受けることになり、そこでしゃべりながら踊る、エアロビクスのようなレッスンの技術を身に着けた。スポーツジムのスタジオに行ってみると、音楽に合わせてイキイキと汗をかきながらレッスンをするインストラクターと、楽しそうに踊る生徒の姿があった。そのインストラクターは、まるでツアー会場のセンターにいる、スターのように見えた。
私はインストラクターのスターになりたいと思った。ここならきっと自分らしさを発揮できる。新しい居場所を見つけることが出来た。
掲載日:2016年11月28日(月)
このエピソードがいいと思ったら...
YASU-CHINのエピソード一覧
ジャズダンサー・ダンスインストラクター
振付師
YASU-CHIN(やすちん)
ダンスを通してTV番組、インストラクター、イベントなどで活躍しているYASU-CHINさん。かつては友人もなく居場所もない。灰色の日々だった彼の人生…。ダンス一筋に生き、そして見つけた真の彼らしさとは。