それからも『花』を主題にした作品はずっと作りたくて何度も挑戦をしていた。
そんな最中、現代舞踊の中ではベテランや実力のある振付家が任される大きな仕事として有名な都民芸術フェスティバルに、若手として抜擢され、振付家として携わることになった。即座にこの大舞台で是非『花』に挑戦したいと思った。これで自分が納得のできるものが作れなければ、諦めてもいい。自分には才能がなかったんだと落ち込む結果になっても、夢を叶えたかった。何とかして、実現させたかった。
実力、実績もある若手中心のダンサー16人、一丸となって、とても手ごたえのある素晴らしい仕上がりの作品が出来上がった。
=The color of flowers=
自分らしさはやっと返ってきた。
リハーサルを見学に来てくれた財団の方々も、いわば初めてのお客さん。
その人達が、感動して涙する程だった。自分が考えてたことは間違いではなった。結局は技術の粋に溺れることなく相手を思いやること、分かち合うこと。僕はこの作品と協力してくれたダンサー達、そしてお客様にもとても大切なこと教えて貰った。もう何も後悔はない。
公演前から評判も良く、テレビの取材なども来たりした。
もちろん僕の中では反省点はあるけど、凄く成果を上げることが出来た、次の年には前例のない2年連続での振付師の依頼を、協会からもらうことができ、新たな自信へと繋がっていった。
岡山県から、「オーケストラで作品を作らないか?」という内容の依頼を受けた。ベートーベン交響曲第九番~歓喜の歌~に載せるといったものだった。若手と高齢の年齢層の違いで家族や誕生をテーマにしたものを作った。
今度の都民芸術フェスティバルでは、この作品を20代から30代のダンサー20名で挑戦しようと思って活動している今、改めておもう事は、作品を作る上では、やっぱり人が生きないといけないなと。
自由にやらせてみて、自分のイメージと違う仕上がりになっても、その人が特別に見えるのは周りが追いついていないだけかもしれない。自分が周りとの温度差に悩んだ経験があるからこそ、自分と違う人をどうやって認めていくのかが大事だと僕は思っている。
自分たちの生きてきた証や環境がにじみ出てこそ面白い舞台は作れる。これからもその思いを大切に、新たなダンスの楽しみ方を生み出していきたい。
これが僕のKeyPage…
掲載日:2017年03月10日(金)
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