「働きたくない…」
高校卒業間近になると私はそう感じた。
実家が農業を営んでいることが原因かもしれない。毎朝同じような時間に起き、日中のほとんどを単純作業に費やし、同じような時間に仕事を終える。そんな繰り返しの毎日を過ごしている親を見ると、仕事に対して「地獄」というイメージが出来上がってしまった。
「働きたくないから大学へ行こう…」
こんな消極的な理由で、大学に行くことを決心した。
でも、特にやりたいこともなかったから、行きたい大学も正直なかった。
「国語は苦手だから理系の大学にしようかな、せっかくなら東京の大学に入りたいな… 」
そんな安易な理由でしか大学を選べなかった。
大学に進学しても、未だに仕事に対するイメージは変わらなかった。周りの連中が就活を始めても、私は何もしなかった。むしろ、内定をもらって喜んでいる人を内心哀れんでいた。
「仕事なんか絶対面白くない…」
私はどこにも働き口を見つけないまま、卒業した。
掲載日:2017年01月09日(月)
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