あの時を境に、私はどんどん自分という人間を表に出していけるようになりました。
高校生になると、沢山のことに挑戦し、更に自分自身が本当に認められるものを探すようにもなりました。そんなことを繰り返す中、とある日の学校帰り、私は友達とカラオケに行くことになりました。そこで自分の目指すべきものを見つけることになります。
「かさねってさ、前から思ってたけど、歌上手くね?」
「ホント!かさねちゃん歌上手すぎ!」
そんな風に言われたことがキッカケで歌に興味を持ちはじめ、高校二年生の頃にはシンガーとして全国大会に出場するほどになりました。
しかし、これまでにないほど大勢の人の前での緊張感や、出場する他のシンガーたちのレベルの高さに身体が震え…結局ほとんど自分らしく歌えず敗退してしまいました…そしてまた、私は目標を見失いました。
高校を卒業してからはしばらく歌からも離れてしまい、普通に就職して毎日忙しなく働く日々を過ごしていました。それなりに充実しているはずなのに、なぜかふいに穴が空いたような感情になる私の心。いつも何か満たされない毎日を送っていることに私は疑問を隠すことが出来ませんでした。
「もう一度歌ってみたいな…」
毎日がつまらなかった。これと言ってやりたい事もできる事もなかった私は、唯一褒められた歌にすがるしかなかったのかもしれません。
掲載日:2017年01月05日(木)
このエピソードがいいと思ったら...
かさねのエピソード一覧