次に興味が湧いたのは海外での挑戦。
海外では自分はどのように見えるのか、居場所はあるのか。その答えを探したかった。文化庁の新進芸術家海外研修員制度に、幸せなことに1発合格!行き先をオランダに決め、1年間留学することになった。
ドイツやパリに行く人が多い中、オランダを選ぶのは当時珍しい事ではあった。
選んだ理由は、文化とか芸術を他の国から寛容に取り入れていて、国民性は自由奔放で思いついたことはなんでもやってみようという国で、代表的な『ネザーランドダンスシアター』という、イリキリアンというとても有名な振付家の影響で、オランダにはダンスの風みたいなものがちゃんと吹いていたからだ。
ここからは苦難の連続だった。
「僕のやっていることはいったいなんなのだ?意味がないのか?」様々な悩みが押し寄せ、落ち込んだ…それでも早くダンスはうまくなりたかったし、変わっていかなければいけない。せっかく掴んだチャンスだからと焦り、泣きながらもレッスンは休まず受けた。
そんな中でもたくさんの素敵な出会いはあった。
留学期間が終わってからヨーロッパの何カ国かを回り、そこで出会った人に色んなフェスティバルに招待して貰い、ソロでツアーを組んだりして仕事をしていくことで、帰国までにはとても素晴らしい音楽仲間が増え、ようやくオランダという国を好きになることができたのだ。留学でたくさんの事を学んできたけど、1番は音楽家の知り合いができ、多方面からの意見を聞くことができたのが良かった。ダンスとは違い、自由にできないと決まっていることもありつつ、自分を表現していかなければならなかったり、凄くシビアな世界を知ることができた。お互いのことを理解し、信頼関係を得て一緒に仕事をする。凄くいい経験ができたと、心から思う。
掲載日:2017年03月10日(金)
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