卒業した後、しばらくは音楽活動を続けていた。
毎日オーディションとレッスンの繰り返しでなかなか結果が出ない。これでは音楽が嫌いになってしまう。そう感じて、音楽を仕事にすることも諦めた。
「さて、この先どうしよう。」
やりたいことはない。でも、お金は稼がないと生活できない。そんな状況だった時、知人からあることを聞いた。
「ハケンって働き方もあるのか…」
派遣社員という働き方について初めて聞いた。
正社員のように拘束されたくなかったから、派遣の働き方が魅力的に感じた。やっぱり、「仕事は地獄だ」というイメージをまだ引きずっていた。派遣社員としての働き口を探していると、パソコン修理を請け負う会社を見つけた。パソコンの知識なんて全くない。けれども、「これからパソコンの時代でしょ。」たったそれだけの理由で、そこの会社に入った。
パソコンやプリンターの修理・保守の為、多岐に渡る企業を訪問した。金融系・メーカー・テレビ局などなど…企業で働いている人たちを見ていると、あることに気づいた。
「あれ、働くってそこまで地獄じゃないかも」
実際に働いて、肌でそう感じた。みんな夢中になって仕事に取り組んでいる。
夢中になっている姿が「地獄」というイメージとは全くかけ離れていた。何より、私自身も働く上で人と話をすることが楽しいということに気がついた。
「働こう。」その時素直に思った。
30歳を超えてやっと、サラリーマンとして働くことを決意した。
掲載日:2017年01月09日(月)
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