キッカケは、SBIホールディングス(大手金融持株会社、資本金800億円以上)のCEO北尾吉孝さんの講演会に参加させていただいた時のことです。
講演の最後に質問タイムがあり、私を含めて数人が手を挙げました。
そこで、まず指名された女性が、こんな質問をしたのです。
「デキる社長は折り財布を使っていると聞くのですが、北尾さんもそうなのでしょうか?」
北尾さんは、ご自身の財布を取り出し、答えます。
「はい、私も折り財布です。けれども、できればもっとカードを入れるポケットのある財布が欲しいんですけどね。」
まるで、財布職人の私のために用意されたかのようなシチュエーションで驚きました。次に、私のところにマイクが回ってきた時、なりふり構わずに、
「オーダーメイド財布職人の梅原です!北尾さん、カードを入れるポケットのある財布、お作りします!」
会場が、どっと沸き立ちました。
誰がそんな展開を予想したでしょうか、北尾さんも笑いながら「ぜひお願いしたい」と仰ってくださいました。
あまりの衝撃に、肝心の質問は、何を聞いたのか覚えていません(笑)
講演会終了後の懇親会では、北尾さんに直接ご挨拶と名刺交換をさせていただきました。
私はこの時点ではまだ、「さっきのはリップサービスかもしれないな、会場の空気を壊さないようにそう言ってくれただけかもしれないな。」と、訝っていました。
しかし北尾さんは、その場で念押しをしてくださったのです。
「本当にオーダーメイドをお願いしたいから、必ずメールをください。」
こんな大物の方が、私に直接オーダーをくださるという事実に、ただただ、驚きと喜びが溢れました。
それからメールで日程を合わせさせていただき、六本木にある北尾さんのオフィスまで伺いました。
部屋に通され、北尾さんと2人きりになりました。秘書の方すら同席せず、2人きりということで、今までにないくらい体中が汗ばんでいました(笑)。
北尾さんは一言、「どんな財布を作ってくれるんですか?」
と尋ねてきました。
私は、知識と意識を総動員して、気に入っていただけるよう懸命にプレゼンをさせていただきました。
この方は、今まで自分がお客様としてお会いしてきた社長たちの、さらにもっと上位にいる方だ、全力全霊で臨まなければならないと、必死でした。
たった20分ほどのお打ち合わせでしたが、その結果、「ではそのような形でよろしくお願いします」と、正式にご発注をいただくことができました。
その帰り道、私は確かな手応えと、自分自身の進化をひしひしと感じていました。
まだ若造と呼ばれる年齢の私が、こんな大物経営者と出会い、直接お話しできるだけでもすごいことなのに、自分の商品を直接ご購入いただけるなんて・・・・自分の、男としての価値、事業家としての価値が、大きな世界で認められたような気がしました。
掲載日:2016年09月26日(月)
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梅原和宏のエピソード一覧
プレジデントギア創設者
株式会社 umehara & co. 代表取締役
梅原和宏(うめはら かずひろ)
社長のためのオーダーメイド財布「プレジデントギア」をブランド展開する梅原和宏さん。今や社長たちがこぞってオーダーするその勢いが生まれたのは、彼がある大物経営者と出会い、自身の事業家としての真価を問われたことがキッカケだった。