“人見知り”で“勉強”もできない、“特技”なんてものは何もない。
物静かなように見えるのか、紹介されるときは、とりあえず「良い人」。
僕はそう呼ばれる度に、「良い人」という言葉は「どうでも良い人」と変換されて耳に入ってきた。
性格がひねくれている。と言ったらそれまでかも知れないが、少なくともこの時は、特徴のない自分を表現する言葉は「良い人」以外にはなかった。
そんな自分を変えたくて、学生の頃は「障がいを抱える子どもたちとキャンプに行く」というNPO法人に入って活動していた。
別にそこに来る子どもたちを救いたかったわけではなく、ただ自分に“特徴”を付けたかったんじゃないか。と、今では思う。
その活動のミーティングを行っている「四谷ひろば」というコミュニティスペースには「おもちゃ美術館」という施設が併設されているのだが、いつも入り口が目に入っていたこともあり、ある日たまたま時間の在るときに、何気なく立ち寄ってみることにした。
その美術館には、木やブリキで作られた今まで見たこともない昔ながらの、でもどこか懐かしい、そんなおもちゃ達が並んでいた。
僕は心が躍った。こんなにも素敵な空間があるのかと。こんなにも自分の心を魅了するのかと。
掲載日:2016年09月23日(金)
このエピソードがいいと思ったら...
佐藤達矢のエピソード一覧
おもちゃメッセンジャー
「ママつな」コミュニティグループ管理人
佐藤達矢(さとう たつや)
おもちゃメッセンジャーとして各地で講演活動やイベントなどを開催している佐藤達矢さん。自分自身の価値を見いだせたのは、何気なく取得した「おもちゃコンサルタント」という資格だった。