4年生になり、就活の手続きをするために大学に行くと、こう言われました。
「新榮くんは、学費を1度も払ってないから就職活動できません。」
そんなはずはありません。奨学金を借りているのだから。
しかし、誰に聞いても同じ答えが返ってくるだけ。払ってないという証拠が出てくるばかり。
頭が真っ白になりました。なにかの間違いではないかと思いましたが事実でした。
私が借りていた奨学金を、生活費として全て両親が使ってしまっていたのです。
高一からずっと続けてきたバイトは、家族を助ける為でした。
本当は部活を本気でやったり、お金を使って遊んだりしたかったけれど、「家族は助け合うもの」という当たり前の感覚を持っていたので、ずっとバイトを続け、親にお金を渡していました。
青春時代を家族に捧げて過ごしてきたつもりでしたが、そんな気持ちを裏切られたというトラウマが強く残りました。
父は「ごめんな。」と言うだけで、働きません。
母は「あんたの事なんて私は知らない。勝手にして。」と会話になりません。
いつからか両親は変わってしまっていました。
自分はこんな人達の生活を守るために7年間我慢して生きてきたのか。
当たり前だと思っていた、家族の愛情や信頼が自分の家庭には無かった事を知り、悔しくて泣きました。
両親とはたくさん喧嘩をしましたが、喧嘩をしても誰も助けてはくれません。
消費者金融など様々なところからお金を借りてなんとか卒業しました。
しかし、就職活動ができておらず、社会人一年目にして、1,000万もの借金を抱えたフリーターになっていました。
両親に裏切られた事をきっかけに、
誰かの為に何かをしても、馬鹿を見る。
自分の事は自分でやる。自分だけでやる。
俺は自分の為に生きていく。
という感覚が確立されました。
誰かを頼ることはせず、誰かの為に何かをする事を拒みました。
相手に干渉せずに生きる様になりました。
掲載日:2017年08月25日(金)
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