土田真生 Episode2:ダンスとの出会い | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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ステージの上から、人々を見下ろす。

自分が企画したイベントで、キスしている人もいれば、喧嘩している人もいる。

その感覚は、なんとも言えないものだ。自分が踊るのとは違う快感。

ぼくが巻き起こしたことで、こんなにも多くの人たちが動いている。そう考えると、鳥肌が立った。

もっと面白いことをしたい。そして、お金を稼ぎたい。そう思えるきっかけが、高校時代にあった。

県内の進学校に合格したぼくは、ごく普通の高校生活を送っていた。不良を辞めたものの、やんちゃな感性は残っていて、なにかしたいというフラストレーションがあった。

そんなときに、駅前で変わった格好をしている人達に会った。ドレッドヘアをして、ダボダボの服を着ている。ラジカセからは音楽が流れている。

彼らは軽快なダンスを披露して、通行人から喝采を浴びていた。ただ踊っているだけではなく、お互いのダンスのクオリティを競うバトルもしていたのだ。

ぼくの目は釘付けになった。気づけば、自分でもダンスを始めていた。溜まっていたフラストレーションを、ダンスにぶつけたのだ。

それからはダンス漬けの日々だ。ダンスをやりすぎて学校に行かなくなったほどだ。周りにはダンスをしている人なんていないから、「変わったやつ」と思われていた。人と違うことをしたいと思っていたぼくには、それが嬉しかった。

ダンスをしている自分がかっこいいと思っていたけど、友人や家族はそんなに認めてはくれなかった。

「おれがやってることを認めさせたい」

そう思ったぼくは、ある考えを起こした。ダンスのイベントを開くことにしたのだ。その名も「フライハイ」。ダンスをしている人たちが自己表現をする場所を作りたかった。

費用を計算してみると、250人は集客しないと黒字にならないことがわかった。できるかどうかはわからないが、とにかくやってみることにした。

フライヤーを配って、滋賀県の南側にはほぼ知れ渡った。会場をおさえるのに50万円もかかったが、見事黒字にすることができた。これが、自分でお金を稼ぐきっかけだ。今もこのときの感覚で仕事をしている。

会場費40万円かかるとすると、高校生からすると大きなお金だが、チケット一枚2000円だとして、200枚売ればいい。20校に営業をするなら、1校につき10枚売ればいい。そう考えれば余裕だ。ぼくは常にそんなふうに考えていた。

「フライハイ」は滋賀県で最大級のダンスイベントになり、ぼくが卒業したあとも続いた。ダンスに出会ったこともそうだが、自分が主催したイベントを成功させたほうがいい経験になった。

高校卒業後は、ダンスの専門学校に進んだ。そこでもダンス漬けの日々を送り、卒業制作として演劇とダンスをあわせたようなものを発表した。母がそれを見に来てくれて、涙を流してくれた。

自分の好きなことで、大切な人に感動してもらえる。発表を終えたぼくも、少し泣いていた。

掲載日:2019年04月12日(金)

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株式会社LIM 代表取締役

土田真生(つちだ まさき)

拉致、親のうつ病、取引先の裏切り……。さまざまな困難に見舞われながらも、そのたびにリスクを取り、挑戦してきた。そんな土田さんの半生に迫ります。

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