私は福井県のとある田舎で生まれ育ちました。大好きな家族のもとで、親切なご近所の方々のもとで、沢山の自然と笑顔に囲まれて、私は何不自由なくすくすくと育ちました。
そんな環境だったためか、私はとても素直に、両親の言いつけもきちんと守り、勉強も誰よりも頑張りました。有名な大学に入り、優良企業に就職し、およそ世間一般から羨ましがられるような道を通り、それを誇らしいと思っていました。
「私の生き方をみんなが喜んでくれている。」
そして、私は会社でとある飲食系サービスの広告営業を担当することになりました。
「いい?営業は数で勝負しなくちゃいけない。一日に20件アポをとって、5件は商談しなさい。」
先輩から教わったアドバイス。ここでも私は誰よりも素直に先輩からの言いつけを守りました。
毎日残業で夜遅くなっても、休みの日も、関係なく全力で仕事に打ち込みました。私はそれこそ皆が喜ぶ方法だと信じて疑いませんでした。
その甲斐あってどんどん成績も上がり、ある日私は会社で表彰されることになりました。表彰状を受け取った私を、後輩も、同僚も、上司も皆笑顔で祝福してくれている。鳴り止まない拍手。自分の努力が認められた瞬間であり、本来であれば泣いて喜んでも良いくらいです。
しかし、なぜか私の心は周囲の歓喜に応えることができませんでした。この時、私の頭の中にはとある疑問が渦巻いていたのです。
「クライアントは本当に喜んでくれているのだろうか?」
そう感じたのは、とあるクライアントからの一言がキッカケでした。
掲載日:2016年10月07日(金)
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シンガーソングライター
せりかな(せりかな)
シンガーソングライターとして全国で活躍するせりかなさん。自分の努力が周りを幸せにする、そんなエリートとしての肩書。自分自身の常識を信じて生きてきた彼女が本当の自分を見つけたのは、今まで信じたその常識を捨てた時だった。