中島庸彰 Episode1:初めてつかんだ成功体験。 | KeyPage(キーページ):起業家の「人生を変えたキッカケ」を届けるメディア

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「中島の弟なのか。お前の兄ちゃんすごかったんだよなあ」
4人兄弟の3番目に生まれた僕。学校でも部活でも、兄貴や姉貴の弟として認識されることが多かった。
生徒会で活躍したり部活のキャプテンを務めたりする、優秀なふたり。
対して僕は、喘息持ちで学校も習い事も休みがち、これという特技もなかった。
「兄貴や姉貴はすごいのに、俺は何も……」

優秀でもない、ビリっけつでもない。成績も運動神経も、人気もクラスで真ん中あたり。
特別好きな事、究めたい事もない。中途半端。

バンドマンの友人が何人かいた。
「こんな曲作ったんだ」「今度ライブやるんだけどさ」「やっぱ目指すはメジャーデビューよ……! 」
夢を語り、そのために努力する彼らはカッコよかった。

高校に上がり、田舎の学生なりにおしゃれに目覚めた。美容室というところに初めて行ってみたものの、
「んー……なんか違う……」
本屋で買ったヘアカタログを傍らに見よう見まねで、自分で髪を切り、セットしてみた。
……なんか、イイかも。いや、めっちゃイイ!!
一緒にヘアカタログを見ていた友人もほめてくれた。「カッコいいじゃん! 俺もやってよ」
こうして、テニス部の部室で同級生たちの髪を切るようになった。
「美容室行くよりイイよなあ」「中島に切ってもらったんだ。お前も頼んだら? 」
友人たちのそんな言葉がうれしかった。

高校3年次、いよいよ進路を決めるという時。それでも僕には夢も目標も、何かに対する自信もなかった。
目指したいものがない。このまま行けば、なんとなく進学して、なんとなく就職して、なんとなく結婚して……なんとなく死ぬ。
……それってダサい。カッコ悪い大人にはなりたくない。一回きりの人生なのに!
いつか家庭を持った時、子どもに背中の見せられる大人になりたかった。夢を語り、実現したうえで、家庭を守っている男に。

いまから勉強して一番になるのも、子どものころからテニスをやってきた人たちを抜いて結果を出すのも、かなり難しい。
これまでのパッとしない人生を脇に置いて、これから挑戦できるものってないだろうか。

「美容師だったら、みんな18歳から専門で学ぶんだもんな。めちゃくちゃがんばれば、俺だって何者かになれるかもしれない」
美容師になって、東京の有名なサロンでめちゃくちゃがんばって、25の時に地元で独立しよう。

ここまでの人生がリセットできるかもしれない道。初めて抱いた夢、いや、目標だった。

地元を出て、東京の美容専門学校に進学した。スタート地点が同じはずのそこで直面した現実。
朝晩の自主練も授業もめちゃくちゃがんばったのに、最初の試験で“改善の必要な例”に選ばれたのだ。
「ただがんばるだけじゃダメなんだ」
うまい子たちはどうやっているのか。“優秀な例”として取り上げられたクラスメートに近づき、
授業でどういうところを見ているのか、どんなふうに練習しているのか、尋ねまくった。
元のセンスが好いこととか、僕より努力していないのにデキてしまうこととかに、嫉妬心は湧かなかった。
何の取り柄もなかった自分、昔に戻るわけには行かない。なんとかするためには、そのためにできる事をしなきゃ!!

一緒に練習を重ねると、デキる奴らの視点や呼吸というものが少しずつ、肌感覚でわかるようになってくる。
がむしゃらな努力から、正しい努力にシフトできたのか。次の期の試験では学年で2番になれた。

「できない事があったら、できる人に聞けばいいんだ。うまくいく考え方、やり方をそのままやれば、俺でも結果が出せるんだ! 」

“改善の必要な例”スタートだった僕は、卒業式で最優秀成績の表彰を受けた。
望みどおり、表参道の超有名サロンに就職。25歳までに美容師で独立という目標に一歩近づいたのだった。

掲載日:2018年06月22日(金)

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socia'L CORE代表取締役社長等

中島庸彰(なかじま のぶあき)

特技も何もない、普通の少年だった中島庸彰さん。初めてつかんだ目標に向かい邁進する日々は、ある日突然絶たれたのでした。絶望に打ちのめされても決して人生を諦めなかった中島さんの奮闘記です。

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