僕は大学生になるまで、ずっと平凡な人生を送ってきました。
それは僕が努力しなくてもできる範囲でしか物事を選択していなかったからだと思います。
大学三年生の時、僕はふとお金持ちになりたいと思いました。
何を思ったか、高級外車が停まっている駐車場で車の持ち主が現れるのをひたすら待っていました。
お金持ちになる方法は、お金持ちに聞くのが一番早いと思ったからです。
そこで、とある事業のオーナーと知り合いました。
なんとか頼み込んで、カバン持ちをさせてもらえたのは幸運だったと思います。
なにより、付いて行く先々で、華やかな世界を見せてもらうことができました。
僕はそのまばゆさに感動し、この世界で生きていきたいと願うようになりました。
これが「挑戦する側」に身を置こうとする自分の最初のキッカケでした。
そのオーナーに付いて一年後、僕も大学四年生。
進路を決めなくてはいけない時期となりました。
しかし、「お金持ちになりたい」と願っていた僕は、普通のサラリーマンにしかなれない就職活動をする気にはなりませんでした。
「この人についていけばいつか叶うはず!」そう思うばかりで、実際は何をやって良いかも分からず、当時の僕はただ世間知らずの子供でした。
そんなある日、不注意でバイク事故を起こしてしまいます。
目の前に横たわるバイク。
割れたテールランプを見ながら、やがて僕は意識を失いました…
気がつくと僕の目の前には18歳の時から付き合っていた彼女がいました。
必死に看病してくれたのか、疲れて眠る彼女…僕は自分がなんて甘い考えをしていたのかを思い知りました。
「僕には守らなきゃいけない人がいる。」
安定した生活を送るために就職をすることを決意したのです。
そして僕は大手企業に就職を果たしました。
がむしゃらに働いたおかげか三年ほどで成果を出し、同期の中でもトップになることができました。
多くを願わなければ、僕は幸福で穏やかな人生を得ることができたと思います。
でも、会社の中で評価され始めると、自分に自信がつき、また外の世界に目を向け始めるようになりました。
掲載日:2016年10月21日(金)
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株式会社Family Tears事業部 本部長
島口 靖弘(しまぐち やすひろ)
仕事に対する情熱と家族との愛情の間で悩みながら事業を立ち上げた島口靖弘さん。自分にとって本当に大切なものに気付いたのは、まさにそのものを無くしてしまった瞬間だった。